「ネットで『チック症の美少女』と言われ…」「私の動画が“ロリ扱い”で拡散した」トゥレット症の20代女性が明かす、病気に対する周囲の意外な反応
マウスピース治療のメリット・デメリット
――アメリカでのマウスピース治療ですが、装着したら症状が止まったわけですよね。治療法として、もっと普及してもおかしくなさそうですけど。 へち ちょっとお金がかかりすぎるというのがあるんですよ。マウスピース自体が60万円ぐらいなんですけど、3、4ヶ月で擦り減ってくるので修理に出さなきゃいけなくて。その修理の費用も掛かるし、保険の利かないアメリカってなると大変なんですよね。あと、日本にいる場合は、アメリカまでの渡航費もバカにならないので。誰でも受けられる治療とは言い難いですね。
――受けやすくなれば、受け続けたいですよね。 へち 私は、もうちょっと年を取ったらやりたいかなって。マウスピースを入れることによって、顔の形が変わってくるから。TikTokやってるから、あんまり顔の形が変わるのはまずいかなって(笑)。 私は入れてたら、ちょっと丸くなりました。もともと顔は細かったんですけど、丸くなっちゃって「あーあ」という感じで。 ――日本では、マウスピースの普及は進んでいないのでしょうか。 へち 日本の歯医者さんたちが研究していて、アメリカのものとは違った形のマウスピースを作ろうとしています。 ――アメリカで作ったマウスピースは、どれくらい装着していたのですか。 へち 高校を卒業して、留学して、20歳ぐらいまでは着けてたかな。4、5年着けてたら、マウスピースのおかげで歯が矯正されてきて、着けてなくても症状が軽くなったんですよね。
「そもそも他人のことなんて見ていない」ロンドン留学中に感じた日本との“違い”
――留学というのは、バレエで? へち そうです。ロンドンに留学してました。 ――あちらはチック症の人たちに対して理解を。 へち 留学先のバレエ学校での生活がハードすぎて、みんな自分にいっぱいいっぱいで、人の病気なんかちっとも気にしてなかった(笑)。あと、あっちは個人主義なところがあって日本ほど他人に関心がないから、電車とかで症状が出ても気にしないというか、そもそも他人のことなんて見ていないんですよ。 日本だと、ちょっとでも変わった人がいるとバッと見たりするけど、そういうのがまったくないんです。なんなら馬の形した帽子を被って電車に乗ってる人とか、車内で楽器を弾いてる人とか、いっぱいいましたし。そういうのもあって楽といえば、楽でしたね。 ――留学期間は。 へち 1年半留学して、20歳過ぎたあたりで戻ってきました。で、戻ってくるなり、体調を崩してしまって、ずっと寝たきりみたいな。いろいろと溜まっていたストレスが一気に出てきたのか、ありえないレベルで体調を崩しちゃって。3年ぐらい、ずっと家を出られなかったですね。 出ても2週間に1回とか。家にずっといたらビタミンDが足りなくなると思って、窓から手だけ伸ばして陽の光を当てたりして。あと、甘い以外の味覚がなくなっちゃって、ひたすらチョコレートだけ食べたり。