阪神”矢野采配”裏目で巨人にマジック「38」点灯…巨人と阪神の違いは「監督力」「執着心」「守備力」の3点にあり
橋上氏は巨人と阪神の違いのひとつに「守備力」を指摘した。 「巨人と阪神との差は、この守備力です。巨人が接戦に強いのは守り勝っているからです。土のグラウンドをホームとする阪神と人工芝の巨人をトータルの失策数だけで比較することはナンセンスですが、それにしても阪神の53個と巨人の16個は違いすぎます。 そして巨人の強さは、そのセンターラインが攻撃力を兼ね備えているという点にあります。セカンドは固定できていませんが、本来、守備重視の起用であるセンターラインに大城、坂本、丸という攻撃力のある選手が揃っています。チーム全体の攻撃力の差が出るのはセンターラインの攻撃力の差なのです。また守備力の差は、イコール執着心の違いだと思います。巨人は、守備だけに限らず、走塁、打撃、投手のピンチでの投球にしても、ここぞという勝負所でのワンプレー、ワンプレーに強いんです。際のプレーで集中力を発揮する執着心が浸透しています。対して阪神、横浜DeNAは、ここ一番での凡ミスが目立ちます。その積み重ねが、このゲーム差になってしまっている原因のひとつではないでしょうか」 橋上氏は、両チームの決定的な違いは勝負への「執着心」の差だと見ている。では、その「執着心」は、どこから生まれるのか。 「ひとつはチームの緊張感、競争意識です。原監督は不振であれば坂本、丸にもバントをさせ、1、2軍の入れ替えも積極的に行って若い選手を使い、チームに“ダメなら生き残れない”という危機感を植え付けました。トレードも積極的に行い、誰も安心していられない状況を作っています。その競争意識、執着心の源をたどれば、監督の威厳というものに行き着くのではないか、というのが私の意見です。選手は監督を見て野球をしているものです。ピリピリ感を作るのは監督の威厳なんです」 橋上氏は“師”と仰ぐ、名将、故・野村克也氏とのこんなやりとりを例に挙げた。 楽天コーチ時代に監督だった“ノムさん”から、「なぜ選手が全力疾走しないか、理由がわかるか」と”禅問答”をされたという。 「選手が気を抜いているからですか?」と答えると「ちゃうな」とニヤリ。 「監督に威厳がなく監督へのリスペクトを選手が持っていないチームほど全力疾走をしないんや。つまり全力疾走しないチームは監督が悪いんや」 「全力疾走」の解釈を変えると、それは「際のプレーの強さ」、「執着心」、「集中力」に置き換えることができる。すべては監督の「威厳」なのだ。