「はい、論破」では信頼関係は生まれない!マウントを取る子どもに親がすべきケア
「はい、論破」と会話を一方的に打ち切り、相手を言い負かして快感を得る風潮が強強まっている昨今、子どもたちの世界にまでそのブームは波及している。幼い頃から言葉で相手にマウントを取っていると、相手の言葉に耳を傾けられず、筋道を立てた議論や対話ができない大人になってしまう可能性も。我が子が言葉で“マウント”を取ってきたときの対処法とは?プレゼンアドバイザーの竹内明日香氏が解説する。※本稿は、竹内明日香氏『話す力で未来をつくる~プレゼンアドバイザーが伝える 子どもの思考力 判断力 表現力を伸ばすチャレンジ~』(WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 子どもにも流行っている 「はい、論破」をどうするか 最近、友達との会話や授業中に「はい、論破」などと言って、相手を言い負かそうとするお子さんたちが増えているそうです。時には、けんかに発展してしまうこともあるといいます。このような強い言葉で相手より自分の方が上だという態度を示す、いわゆる「マウントをとる」お子さんに対して、保護者はどのように対応すればよいのでしょうか。 以前から、テレビなどで影響力のある大人の発言を真似するケースはありましたが、最近は動画やSNSなどから、よりスピーディーかつ広範囲に伝わる傾向が見られます。この状況がエスカレートすると、意図せずして誤解や孤立を生んでしまい、いじめにつながる可能性もあり、見過ごすことはできません。 流行り言葉を使って、相手の発言をさえぎったり、言い負かそうとしたりすることは、実は幼児や子どもに限らず、大人も含めさまざまな年代で起きています。こうした行為の背景には、自分に自信はないものの、周囲に強く出ることで認められたいという一種の承認欲求があります。なお、保護者に厳格に育てられたお子さんの方が、この傾向を持ちやすいとの研究結果もあります。
では、お子さんが強い口調で相手にマウントをとるような発言をしていた場合、保護者はどのような対応で臨めばよいのでしょうか。 お子さんの主張が、あるテーマについての議論の中で、客観的な事実やデータをそろえた上で、「こういう見方もできる」と言っている場合は、十分褒めるに値します。 ● 安心して意見の言える家庭なら 「はい、論破」は出てこない しかし、「はい、論破」などと言って対話を一方的に打ち切ろうとしたり、本来の議論から方向性を変えて「論点ずらし」とも思われる主張をしたりするのであれば、それは注意が必要です。あまりに浅はかだと感じられる場合は、「それではちゃんとしたお話ができないよ」「相手との信頼関係がつくれないし、あなたも大切にしてもらえなくなるよ」と指摘すべきです。 お子さんが、まわりの話を聞いた上で、きちんと筋道を立てて対話や議論ができるようになるためには、保護者の方がお子さんの意見を受け止めることが肝要です。お子さんにとって、ご家庭が安心して意見を言える心理的安全性が保たれた場所であり、その中で、論理的な考え方や会話の練習を積んでいけるのが望ましいと思います。