漢方のプロ、樫出恒代さんが40代・50代読者のお悩み、ダイエット・更年期の汗…にアンサー【OurAgeの大人相談室/大人のシャベリ場まとめ】
「脾」に負担をかけない生活を心がけて
人はさまざまな理由で太りますが、可能性の1つとしてあるのが「脾(ひ)」の疲労です。 「脾」とは内臓のなかで消化器全般を表し、栄養を吸収するための臓器として重要視されている部分。 「脾」が弱いと「氣」「血」を十分に取り込む力がなくなり、血流が悪くなり冷えやすくなったり、代謝も落ちやすくなるため、太りすぎる(もしくは痩せすぎる)ことがあるのです。 【「脾」が弱るとさまざまな症状があらわれます】 ・太りすぎる、痩せすぎる ・食欲不振、消化不良、胃もたれ ・下痢、便秘 ・不正出血、あざ、皮下出血 ・肌や唇の乾燥、荒れ 【「脾」をいたわるために、気を付けたいこと】 ・冷たいもの、甘いもの、お酒のとり過ぎを避ける ・油っこい食べ物を控える ・冷房などで体を冷やさない ・ストレスを上手に発散する 目安として1年で5~10㎏太ったら危険領域だと言えます。 数年かけて徐々に体重が増えることは、更年期以降にありがちなことですが、一気に太るのは要注意。体のバランスが崩れて転びやすくなる、歩くのがおっくうになるなど、機能面でも悪影響が出るので気をつけてください。 反対に、太ったと言ってもそこまでではなく、食事が3食おいしく食べられて、ぐっすり眠れて、お通じも毎日あって、なにより楽しく不調なく暮らせていたら、体重の数字に一喜一憂しなくてもいいと思います。 むしろ過度なダイエットで急に痩せると、肌がシワっぽくなりますし、肉が落ちて体が冷え、風邪をひきやすくなる心配も。何事も中庸、ほどほどであることを心がけましょう。
お悩み②
花粉症やアレルギーがあるので、免疫力を上げること、食事ではカロリーを抑える事を意識しています。できるだけ症状が軽くなるよう、免疫力を上げていきたいのですが、漢方の観点では具体的に、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。(48歳・会社員)
樫出さんの回答 免疫は「上げる」「下げる」ではなく、正常に働いているかどうかが大切です。
◆免疫が上がりすぎると、アレルギーにつながることも いただいた内容から気になったのは、短い文面の中に、「免疫を上げる」というキーワードが二度も登場している点です。ここに相談者さんの誤解を感じたので、まずそこからお話をさせてくださいね。 実は漢方的観点では「免疫は上がりすぎると、アレルギーの原因になりやすい」と考えられています。 上がり過ぎも下がり過ぎも、どちらかに偏った体の状態は、病気を作り出してしまう、ということ。そのため漢方では、偏りのない中庸の状態を理想としているのです。 免疫力が上がり過ぎているとき、人の体は異物をより敏感に察知します。花粉やハウスダストなどにも敏感に反応するので、鼻水や皮膚のかゆみなどで、それらを出そうとするしくみが働きます。反対に免疫が下がり過ぎている時は、風邪を引きやすくなります。熱が出るのは、ウィルスを体の外に出そうとしているためです。 つまり、免疫はただ上げればいい、というものではありません。無理に上げても、その人本来の免疫力のバランスが崩れてしまえば、健康とは言えない状態になるからです。