「僕と比べるのは失礼ですよ」ドイツで未だ現役プロ選手…本当の“最後の松坂世代”久保康友(44歳)が盟友の引退に思うこと「和田は本当にすごい」
NPBで13年間プレーしたのち、2018年にアメリカ、翌年のメキシコに続いて昨季からドイツの独立リーグでプレーしている男がいる。昨季は15試合に先発してリーグ最多の11勝、今季もリーグ2番目となる8勝をあげた久保康友だ。1980年生まれの44歳は、世に言う「松坂世代」に当たる。11月の和田毅(ソフトバンク)の引退では「最後の松坂世代」という言葉がメディアに躍ったが、本当の「世代最後の男」は、戦友の引退をどう見たのだろうか? 《Numberwebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》 【写真で比較】「昔と全然違う…!」20年前、NPBでの若かりし新人王時代の久保と異国で超ワイルドになった現在の“変わりすぎビジュアル”…「松坂世代」最後のNPB選手・和田のルーキー時代も写真で見る ドイツでのリーグ戦・プレーオフを終え、久保康友は9月に日本へと戻っていた。 そして、今後も見据え地元のトレーニング施設で朝から身体を動かしていた11月5日、共に汗を流していた若い選手が発した言葉に衝撃を受けることになる。 ――和田さんが現役引退するみたいですね。 「最初は『え? そんな報道あったっけ? 』って思いました。そうしたらネットのニュースでどんどん情報が流れ始めて……。びっくりしましたけれど、まず思ったのは『大変やったやろうな』っていう言葉です」 同い年で、松坂世代の最後のNPB現役投手とも言われた和田毅。浜田高から早大を経てダイエーホークス(当時)に入団し、新人年から5年連続で2ケタ勝利を挙げるなど、エースとしての地位を確立した。アメリカ・カブスなど2年間の米球界でのシーズンも含め、日米通算で165勝をマークした、今やレジェンド左腕とも言われてきたのが和田だ。 高校時代、共に甲子園に出場した和田とは、プロの舞台で何度も顔を合わせた。 「今は連絡を取っているわけではないですけど、NPBの時は球場で会えばよく話はしていました」と、和田との時間を振り返る。
久保本人は「和田と比べるのは失礼ですよ」
そうなると松坂世代最後の現役選手は久保――と言ってもいいのだろうか。その件について久保はこう口を開く。 「和田はNPBのさらにトップを目指して、ソフトバンクという日本を代表するトップチームで色んなものを背負いながらここまで努力してきたと思うんです。僕は同じ年で一応まだ投げさせてもらってはいますが、僕なんて遊びのような感じでやっていますから和田と比べるのは失礼ですよ」 昨年、ドイツの独立リーグでプレーした経緯について話を聞いた時、久保は現在の自分を「趣味で野球をやっている」と話していた。NPBにいた13年間は、とにかく数字にこだわり、冬場のオフの時間も犠牲にしてトレーニングを続け、四六時中結果のことばかり考えてきた。 だからこそ、今は野球を好きなように続けたい。もちろん、家族と話し合い、了解を得た上だが、海外を飛び回る近年の自分を”遊び“だとか”趣味“と表現している。 さらに久保はこう続ける。 「和田は今まで長い間、どこかに痛みとか抱えながら相当大変な思いで現役を続けてきたんじゃないかと思います。節々のここが痛いとかしんどいとか本音を打ち明けたくても、今は同世代の選手がチームにいないから打ち明けづらい現状もあったと思いますし、孤軍奮闘だったんじゃないですかね。それに耐えながらやり続けるって相当なメンタルですよ」 野球のシーズンオフになると、キャリアを積んだ30代半ば以降の選手がプレーヤーとしては晩年になり、現役を続けるか引退するかという話題がどこかで上がる。久保も同じ年代になった時、そういった葛藤が常にあった。
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