「僕と比べるのは失礼ですよ」ドイツで未だ現役プロ選手…本当の“最後の松坂世代”久保康友(44歳)が盟友の引退に思うこと「和田は本当にすごい」
「欧州の人の力の抜き方を日本人も学んだ方がいい」
さらに久保はこんな思いも口にする。 「ヨーロッパの人の適度な力の抜き方を、ある意味日本人も学んだ方がいいと思っていて(苦笑)。日本人は本当に真面目に練習するのですが、むしろ練習しすぎっていうくらいなんですよ。そんなに気を張って練習せんでもいいのにって見ていて思うこともあります」 それは生真面目すぎる日本人に、少しでも違う風に当たることで肩の力を抜いて欲しいという、久保のちょっとした“願望”でもある。 「日々の練習の中で、今置かれている環境で苦しんでいる日本の選手もいると思うんです。でも、野球で失敗しても死ぬわけじゃないんですから、ヨーロッパの人のように適度に力を抜きながら備えるところも見た方がいいって、ドイツに来て思いました」 久保は、「彼らのそういった姿を目にする機会が増えることで、どこか楽になる部分もあるんじゃないか」と語る。 「アメリカ人は真面目な人と適当な人がはっきりしているのですが、ヨーロッパは色んな人種が多い中で基本的に適当な人が多いです。練習では気が抜けていても、やる時はやる。そういう彼らのメンタルをいつか見てみた方がいいって思います。現状が急激に変わらないかもしれないですけれど、メンタル的に楽になることはあるはずなので」
来年は…家族のために日本に
来年は長男が高校受験を控えているため、渡航はせず日本に留まる予定だ。 「今まで子供のことは嫁さんに任せっきりだったので、来年は学校との懇談とか、ちゃんと出ようと思っています」 そんな中でもトレーニングは欠かさず続けていく。 「40を過ぎると、3日間何もせずに過ごしたら自分は身体がしんどくなって軽いうつみたいな症状が出るんですよ。土日と月曜日が祝日の3連休で練習を休んでしまうと大変で(笑)。身体を動かさないことってこれだけ健康に良くないんだって思いました。動いている時と動かない時のしんどさは全然違いますね。朝から1人でめちゃめちゃ走ることもありますから、周りからしたら『何をしているの』ってビックリされることもあるんですけど」 自分のために現役にこだわり続ける。それが久保の生き方だ。 「健康のために身体を動かすのと、職責のために身体を動かすって全然違うんです。そういう意味で、和田は本当にすごいなって思います」と最後まで和田へのリスペクトは止まない。それでもどん欲に現役の道を歩み続ける。 44歳のアスリート。久保康友の野球の旅は、まだ終幕を迎えることはなさそうだ。
(「プロ野球PRESS」沢井史 = 文)
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