注目度急上昇、アメリカの女子プロバスケ クラーク選手らが人気をけん引
テレビ視聴者数や観客動員では期待通りの数字をたたき出しているクラーク選手だが、肝心のプレーでは苦闘している。 WNBAはレベルが高い上、厳しいマークを受けており、大学時代のようには得点をたたき出せていない。それでも5月は9試合に先発し、1試合平均17・6得点、6・6アシスト、5・1リバウンドで、月間最優秀新人に選ばれた。 周囲からの期待の重圧と闘いながら、非凡さを見せるクラーク選手だが、チームの成績がなかなか上がらない。6月16日時点で5勝10敗と、12チーム中の8位と低迷している。 それでも人気は衰えない。5月24日、敵地でのスパークス戦は観衆1万9103人を記録。会場のクリプト・ドットコム・アリーナはNBAレーカーズの本拠地だが、レーカーズの試合開催時の満員となる1万8997人を1試合だけとはいえ上回った。 フィーバーは昨季、ホームゲーム20試合の観客動員数の合計は8万1336人。今年6月2日には本拠地5試合目となるシカゴ・スカイ戦で合計8万2857人と、早々に昨季の合計を超えた。
▽女性スポーツはエキサイティング クラーク選手をはじめとする今季の新人選手たちがWNBAの人気を底上げしている。そのことが、米国の女性スポーツ全体への関心の高まり、見直しにつながり、サッカーやアイスホッケーでも観客増などの現象が見られる。 長年、女性スポーツの普及振興と地位向上に尽力してきたパイオニアたちは、クラーク選手らがもたらしたWNBAへの関心の高まりを歓迎する。女子テニスの先駆者で女性スポーツの地位向上に長年尽力してきたビリージーン・キングさんも「私はこれまでの人生で、このような瞬間を待ち望んできた。女性スポーツは今や(収入にならない)慈善事業ではなく(ビジネスとして成立する)投資の対象として見られている」と感慨を込めて言う。 また、テニスの四大大会で23度優勝し、引退後は投資家としても活動するセリーナ・ウイリアムズさんはCNNのインタビューで、WNBAへの出資について問われると「リスク要因はない。女性のスポーツはエキサイティング。女性のスポーツは、そうあるべきだった瞬間を迎えている」と答え、スポーツビジネスとして成立するレベルに達したことを間接的な表現で語った。
7月のパリ・オリンピックで8連覇を狙うアメリカ女子代表12人が6月11日に発表され、クラーク選手の代表入りはならなかった。3月末時点では強化合宿のメンバー14人の中に含まれていたこともあり、代表の選考を巡ってちょっとした論議を呼んだ。 男女、競技を問わず、アメリカのプロスポーツで屈指の知名度を誇るクラーク選手。22歳の若い女性が点火した女子バスケットボールの人気が静まることは当分なさそうだ。