「最終目標は自立」子育てラジオの人気MCが挑む、卒業前提のオンラインフリースクール
オンラインフリースクール「コンコン」での取り組み
──Teacher Teacherさんが運営されているフリースクール、「コンコン」の取り組みについて、詳しく教えていただきたいです。 オンラインフリースクールとのことですが、具体的にはどのような感じなのでしょうか。 はるか:メタバースの教室で行っていて、基本は教員が複数の子どもたちとコミュニケーションをとるスタイルです。複数人でのかかわりが難しい子には自習室を用意しているので、自分1人で黙々と勉強をすることもできます。声掛けOKの自習室もあり、そこでは先生が子どもに声をかけたりすることもあります。 どのように学ぶかは、子どもたちが自分で決められるような仕組みにしています。「自己決定したことを達成する」という過程を最も大切にしているので、授業の中で学ぶ内容も、基本的には子どもが決めるんです。 ──子ども一人ひとりの選択に応えていくには、かなりの人手が必要なように感じます。今は何人で運営されているんですか? はるか:僕と教員、カウンセラー、スクールソーシャルワーカーの4人の主要スタッフに加え、ボランティアの方にも参加していただいています。そのため、スタッフの数は多いときで7~8人になります。 生徒は全体で12名ほどですが、学校に通う子もいるため、実際にフリースクールに来る子どもは5~6人程度です。少人数制なので、とても丁寧な支援が可能です。 現在は、多くの方に入学を待っていただいていている状態なのですが、子どもたちが自ら学ぶ仕組みができてきましたし、信頼できるボランティアも増えてきたので、今後は少しずつ受け入れ人数を増やせると考えています。 ──オンラインだと通学の負担がないので、参加のハードルが下がりそうですね。 はるか:オンラインのフリースクールは近年増えていて、自治体で実施しているところもあります。ただ、「コンコン」はオンラインで完結させるのではなく、最終的に子どもたちが卒業することを目指しています。 そのため、将来のキャリア形成を自分たちで考える時間を設けています。目標にむけて何をすべきかのスモールステップを設計し、卒業後は学校に行くのか、学校が難しいならフリースクールに行くのか、子どもたちが決められるようにしています。あくまでもリアルな場で学ぶことを大切にしているため、生徒の入れ替わりも比較的多いです。 ──学費が0円ということにも驚きました。どのように運営しているのでしょうか。 ひとし:もともとは、個人や法人のスポンサーによる資金で運営する予定でした。 しかし、子ども一人ひとりへの手厚いサポートや、親御さんへのカウンセリングなどにより、受け入れ可能な人数に限界が生じ、入学を待つ親子が増え続けていました。 そこで現在は、月額で支援してくれる方々による「村」と呼ばれるコミュニティと、20人以上の待機中の親子が、座談会などで互いに相談し合える関係づくりに力を入れています。 先生だけでなく、コミュニティ全体で子どもたちを支援していきたいと考えています。 「村」では勉強会を実施し、知識や支援例をシェアして子どもたちへの寄り添い方を学んでいます。今後は30人ほどの子どもたちを無料で受け入れ、その上で安定した運営ができたらと思っています。 はるか:リアルなフリースクールは、スタッフの数がものすごく多いんです。個別に支援が必要な子もいるので、1人1人に対応するには膨大な人件費がかかるのですが、それをこの助け合いで成立させられれば素晴らしいと思っています。 とりあえず、不登校で困ったときは、「村」に来てもらうだけでもだいぶ違うと思いますよ! ひとし:ひとし:自分から「たすけて」と声を出せると助けてくれる人はたくさんいるので、声を出しやすいコミュニティにしていけると嬉しいです。 また、現在は小学校3校と連携し、福岡の東区に「コンコン」のリアルな拠点を作ろうと考えています。オンラインにとどまらず、学校に行けない子どもたちの支援の場を作っていきたいです。 (取材・文/nobico編集部)
福田遼,秋山仁志(子育てのラジオ「Teacher Teacher」MC)