「窓は大きいほうがいい」は間違った常識? “思い込み”で失敗しない家選びのコツ
「大きい窓が沢山ある家がいい」……本当にその“窓”必要ですか? 実は、明るく快適な室内環境を整えることは工夫次第で可能なのです。 2000軒以上の住宅を手がけてきた一級建築士・内山里江さんの書籍『家は南向きじゃなくていい』より、快適な家づくりの極意をご紹介します。 【間取りを見る】30代公務員夫婦の“理想の新居”に潜む落とし穴。家事時短できない原因は「間取り」!?
窓をつくりすぎてはいけない
「大開口がほしい」の罠 戸建てやマンションのモデルルームには、やたらと窓が多いものがあります。「明るくて素敵」との印象を内覧者に与えがちですが、実は要注意です。というのも、窓は家の断熱性能に大きく影響するからです。窓が多ければ多いほど室内と外気との接触面積が増えるため、断熱性が損なわれるのです。 それでも「外の景色を眺めたいから大開口の窓がほしい」とリクエストする人は少なくありません。もちろん、そこから眺める景色が抜群に素晴らしく、その家の個性として価値があるのなら、前向きに検討すべきだと思います。 しかし、周囲の環境との兼ね合いを考えることも忘れてはなりません。窓に面した通路の人通りが多かったり、隣の家の窓との距離が近かったりする場合、カーテンを閉め切らざるをえなくなることもあります。これでは断熱性を落としてまで窓をつくる意味がありません。 以上の理由から、窓は「適材適所」につくることが肝要です。多ければいいわけでは決してなく、「ここぞ」という場所に最適なサイズと形式の窓を設けることが重要なのです。 「窓がないと部屋の換気状態が悪くなりそう」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、現在の新しい住宅には「24時間換気システム(自動的に室内の空気を入れ替える仕組み。2003年の改正建築基準法の施行によって義務化)」が必ず入っていますので、それが作動している限りは換気に問題が起こることはありません。窓から直接取り入れる空気や風も気持ちのよいものですが、窓を開け放しておけるほど気候のいい時期は一年のなかでもほんのわずかなタイミングのみです。そのために断熱性を犠牲にするのは、トータルで考えてあまり賢いやり方とはいえないでしょう。