【3台のフェラーリ・プロサングエ】 日本の伝統と革新を巡るグランドツーリング 約1000キロを走破
グランドツーリング2日目
■2日目 金沢~白川郷~飛騨高山~松本 快晴の千里浜なぎさドライブウェイで砂浜走行を楽しんだプロサングエは、南下して岐阜県を目指した。 高速道路をあえて途中で降り、飛騨の山間を抜けるワインディングロードを楽しむ。スポーツカーとまるで変わらないパフォーマンスを発揮するプロサングエを思う存分に堪能したのち、世界遺産に登録された茅葺の街、白川郷へ入った。 現在も茅葺の家が114軒も残り、うち60軒は実際に生活の場として使われている。この地域がユネスコに高く評価された理由は、美しい風景だけではなく、現代でも残る独特なメンテナンス方法である「結」にある。 「結」とは、村人たちが協力して互いの家の屋根を葺き治すことを分担する伝統的な制度だ。時代の変化に合わせて技術を継承し、伝統を最良の状態で保っていくことができるように工夫が凝らされており、結果として昔のまま残されているように見える村も、実は美しさを守るための工夫がなされている。 飛騨高山から乗鞍を抜け松本へと向かう街道では、スポーツカーを走らせるにふさわしい峠道が続く。 水を得た魚のようにワインディングロードを駆けてきたプロサングエだが、途中にはすれ違いに躊躇うような細いトンネルなどにも遭遇した。それでも難なく目的地を目指せたのは、ドライバーとクルマとの優れた一体感の賜物だったのである。 松本市街に入り、江戸時代の威容を今に伝える国宝松本城を右に見つつ、プロサングエー行はこの日の目的地、日本神話に基づく伝説が残る扉温泉に到着。 その昔、神たちも訪れて疲れを癒したという地元の湯治場扉温泉に、創業九十年以上という一見鄙びた旅館は、一歩中に入れば和と洋、伝統と最新をほどよく融合させた心地よい空間に誂えられており、疲れた旅人の心を踊らせた。
グランドツーリング3日目
■3日目 松本~蓼科~諏訪~北杜富士五湖~箱根 晴れ渡った3日目は、海外からのジャーナリストを迎えた。 扉温泉からビーナスラインへと山間をのぼり、伸びやかなスカイラインを存分に楽しんだのち、茅野市へと向かって山を下る。目指したのは日本有数の歴史ある神社の一つである諏訪大社。 守屋山に抱えられた社が霊妙な空気の中、プロサングエを迎え入れ、参加者たちは交通安全を祈った。その後、諏訪大社から甲州街道を東進し、明治天皇が立ち寄られたという由緒ある旧北原家と、日本酒”七賢”で有名な山梨銘醸を訪れた。 山梨銘醸は伝統を守りながらも、時代の好みに合わせて改良を続けることで、日本酒の生産に挑戦し続けている。 その後一行は、山々の向こうに一際高くその姿を見せる富士山を目指して富士五湖へとノーズを向けた。湖岸沿いを快調に駆け抜けた3台のプロサングエの前には、それまで厚い雲に覆われていた富士山が姿を現し、冠雪のない夏の富士の雄大な姿に心を奪われた。 そして目的地である箱根へと向かうために、一行は再び走り出した。