なぜW杯敗退の検証を行う前に次期監督が決まるのか?
日本代表の次期監督としてハビエル・アギーレ氏の就任が決定的な状況だが、日本代表のW杯での敗因を分析、そして次に向かうサッカーがどのようなものであるべきかを真剣に議論する検証作業が追いついていない。7月22日からW杯に派遣されていたチームのデータを元にJFA内で具体的な検証作業に入るようだが、そういう手順を踏まずに次期監督選考が先行していて、4年前にも出ていたメキシコ人監督の名前が出てきて、やれ条件がどうだ、コーチ人事がどうだ、という先行報道が続いている。
WEBサイト、アスリートジャーナルで意見を書かれている元日本代表の城彰二さんは、「今までのサッカーでは通用しないことがハッキリとした。じゃあ、4年後は、どんなサッカーを目指すのか。監督を変えることだけで、ごまかすのではなく、その指針を協会が定め、その上で、その方向性のサッカースタイルを身上とする監督を選ぶべき。育成の世代も、どんなサッカーに合う選手を育てなければならないかに迷う。なのに、その議論がなされていない。マスコミ報道も、監督の名前を追うことだけに偏向してしまっている」と警鐘を鳴らす。 ■3月下旬にアギーレ氏に接触していた 原専務理事兼技術委員長も「日本をどういう方向性にするかをしっかりと検証してから決める」とコメントとしていたが、3月下旬の段階でスペイン紙に「日本がアギーレと接触した」という報道もあった。今回のW杯の戦い方の内容、結果に問わず、そもそもアギーレが本命だったのだろう。 「早く動かねばいい人材がいなくなる」という言い訳もあったが、世界の監督人事にも明るい某エージェントの話を聞くと、「詭弁でしょう。正直言って日本のような条件のいいところで監督をやりたい人物はいくらでもいる。日本は、こういうサッカーをやりたい、では、その方向性、戦術、戦略を持った監督は誰かという手順を踏んで探しても遅くない。日本人の文化、適正を理解できるかどうかも含めて、監督の高名だけに右往左往するのでなくもっと議論が必要でしょう」と言っていた。