経理・決算業務を自動化 「米主要500社の半数」が採用したSaaSとは?
自ら最初の製品を設計 2007年にSaaSへ移行
タッカー氏が同社を創業したのは2001年。最初の製品は自らソフトウェア・プログラマーとして設計した。起業したのは、経理部門とテクノロジーの相性の良さに着目したからだと話す。 「起業するにあたって、経理部門を支援するサービスを選んだ理由は大きく3つあります。1つ目は、経理はルールに沿って処理されていくので、テクノロジーとの相性が完璧だということです。2つ目は、経理財務部門は社内でなかなか予算がつきにくく、DXに時間がかかると思われたこと。3つ目は、会計担当者はリスクを嫌うので、ブラックラインのソフトウェアが信頼を得られれば、担当者が手放すことはないだろうと考えたからです」 経理部門で安定したビジネスが可能だと考えたのは、企業財務のソリューションを提供する企業で最高技術責任者を務めた、前職の経験で学んだ結果だという。 さらに、タッカー氏の判断がブラックラインを成長に導いた。経理のソフトウェアをオンプレミスで運用するのが主流だった2007年の時点で、ソフトウェアのクラウド化に踏み切ったのだ。この判断が大きなシェアを獲得する要因となった。 「オンプレミスとSaaSの違いを分析してみると、非常に興味深いことが見えてきました。オンプレミスはソフトウェアの更新が難しく、金額的にも大きくなるので契約をまとめるのも困難です。また、誰かがコンピュータに支障が生じることをしようものなら、ソフトウェアが止まってしまいます。それに対してSaaSは、ソフトウェアの更新も、課題が生じた場合の対応もオンプレミスよりはるかに簡単にできます」 「それだけではなく、最も大事だと考えたのは顧客のことを考え抜いて、顧客中心のサービスを提供することでした。SaaSを月額料金のサブスクリプションで提供した場合、効果が上がっていないと顧客が判断すれば、そこで打ち切られます。逆に言えば、顧客に満足いただける良い仕事をすれば、長い期間にわたって使っていただけます。オンプレミスよりもSaaSの方が良い選択だと考えて、2007年に道筋をつけました」