躍進続くサツマイモ:海外でも人気で看板商品に
加工も多様化、看板商品として定着
国内外で根強い人気が続く中、焼き芋は安定した支持を集める。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で食品スーパーを展開するサミットは、季節に応じて「安納いも」と、「べにはるか」または「シルクスイート」、「なると金時」または「五郎島金時」から1~3品種を採用し、販売しているという。店舗ごとに焼きあがり時間を告知する「焼きたてPOP」をなどの心配りも光る。「焼き芋を目当てに来店する買い物客も多く、SNSの投稿でも評判が良い」(同社広報部)。 焼きたてを売りにする一方で、真夏でも食べられる冷やした焼き芋も注目を集める。コンビニ大手のファミリーマートは、90日間以上熟成貯蔵した「べにはるか」を使った「ひんやり甘い冷やし焼き芋」を販売する。同社広報部によると「自然な優しい甘みや皮の香ばしさ、ほろ苦さをしっかり感じられ、サツマイモ本来の風味を楽しめておいしかった」との評価も寄せられているという。同社は9月、秋恒例のキャンペーンとして「ファミマのお芋掘り」を展開した。
菓子メーカーも商品を充実させる。井村屋は国産「べにはるか」を皮ごと炊き込んだ「片手で食べられる小さなようかんさつま芋」、松永製菓では鹿児島県産「安納いも」をベースにしたあんを挟んで焼き上げた「しるこサンドさつまいも」を販売するなど、多彩だ。 カフェでは、タリーズコーヒージャパンが日本生まれの素材の魅力を伝えるプロジェクトとして「ほっこりOIMOラテ」をはじめとする季節限定のドリンク3種類のほか、スイーツなどサツマイモを軸にした企画を8月下旬から9月下旬まで季節先取りで実施した。 新商品の開発・販売が続く状況を踏まえ、「さつまいもアンバサダー協会」代表理事の橋本亜友樹さんは「嗜好品としての位置づけにあるサツマイモは収穫時期の秋に限らず年間通じて楽しめるようになった。過熱状態は過ぎ、今後は定着していくのではないか」とみる。
【Profile】
久米 千曲 フリーライター。秋田県横手市十文字町出身、静岡県浜松市在住。三陸河北新報社(宮城県石巻市)、日本農業新聞(東京)の記者を経てフリーに。転居経験を糧に、食農を中心にした地域の話題を追う活動を継続している。