本当は怒ってよかったんだと気づくことがいっぱいあって…作家・寺地はるなと原田ひ香が語った創作の一端
――最初からシリーズの構想を持って書かれている作品は少ないのですか? 原田 ええ。でも、『古本食堂』はシリーズとして書いてみたいと思っていました。 寺地 本を読む喜びそのものを感じながら、私も読ませてもらっています。小説に限らずいろんな本が出てくるので、ガイド的な楽しみ方ができるのもいいですね。『古本食堂 新装開店』に出てきたフィルムストーリーという本に触発されて、映画『Wの悲劇』を見ました(笑)。 原田 現在、書店では買えない本を取り上げたいと思って始めた連載なんです。写真集や料理本もそうですが、その時、その時代のもので重版もほとんどされません。でも、そういう中にも面白い本はたくさんありますから。 寺地 それを薦めてくれる珊瑚さんと美希喜ちゃん。この二人、大好きなんです。場の話をされていましたが、この二人がまさに場の雰囲気をうまく作り出しているなと思います。まだ続くと思っていいですよね。 原田 そのつもりです。寺地さんは続編は書かれないのですか? 寺地 どうやって書くんだろうと思っているくらいなので。 原田 ぜひ挑戦してほしい。きっとそれも、私の期待を軽々と更新してしまうんだろうなと思います。 【著者紹介】 寺地はるな(てらち・はるな) 1977年佐賀県生まれ、大阪府在住。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。『今日のハチミツ、あしたの私』が勝木書店グループ「KaBoSコレクション2020」金賞を受賞、2021年『水を縫う』で河合隼雄物語賞受賞。2023年『川のほとりに立つ者は』で本屋大賞9位入賞。『彼女が天使でなくなる日』『大人は泣かないと思っていた』『カレーの時間』『ガラスの海を渡る舟』『こまどりたちが歌うなら』など著書多数。 【聞き手紹介】 原田ひ香(はらだ・ひか) 2005年「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞、07年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞。他の著書に「三人屋」「ランチ酒」シリーズ、『東京ロンダリング』『母親ウエスタン』など多数。『三千円の使いかた』『一橋桐子(76)の犯罪日記』はドラマ化もされ、大ベストセラーになっている。小社より『古本食堂』『古本食堂? 新装開店』が大好評発売中。 [文]角川春樹事務所 構成:石井美由貴 写真:島袋智子 協力:角川春樹事務所 角川春樹事務所 ランティエ Book Bang編集部 新潮社
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