政策より共感、すぐ投票へ──ショート動画が選挙の鍵を握るか 識者が語るSNSと選挙 #SNSの功罪
選挙でSNSを使う流れに変化が出てきた。従来はX(旧Twitter)やYouTubeだったが、目下強い影響が見られるのは数十秒の短いショート動画だ。都知事選では石丸伸二氏、自民党総裁選では高市早苗氏がそうしたショート動画で支持者を増やした可能性がある。今回の衆院選でもTikTokなどでショート動画が散見される。なぜ選挙でショート動画が使われるのか。これらの動向に詳しい、ネットコミュニケーション研究所の中村佳美代表と成蹊大学の伊藤昌亮教授に話を聞いた。(文・写真:ジャーナリスト・森健/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
中村佳美・ネットコミュニケーション研究所代表「“人柄”が見られていた」
9月に行われた立憲民主党の代表選と自由民主党の総裁選。両党首選では、どちらもSNSが幅広く使われていましたが、今回、特徴的だったのが動画、とくに数十秒から数分のショート動画でした。 まず立憲民主党で見ると、従来同党の議員はX(旧Twitter)を使う方が多く、7月の東京都知事選でも蓮舫さんは(6月に離党しましたが)Xを駆使して選挙戦に臨んでいました。文字や画像による投稿が主体です。ところが、今回の立憲の代表選ではTikTokやYouTubeショートなどショート動画に力を入れる人が出てきました。
たとえば吉田晴美さんは「はるみんキッチン」というショート動画を主にInstagramで展開していました。代表となった野田佳彦さんも、お酒をどれくらい飲むかを語るようなゆるい内容のショート動画をYouTubeで出していました。彼らの動画でも、そういう“人柄”の動画の再生回数が多かったことにまず注目する必要があります。 自民党の候補者が力を入れていたのはYouTubeですが、ここで長けていたのが高市早苗さんでした。陣営側で出していた動画は大別して4種類です。政策など主張型の内容、討論会や街頭演説の切り抜き、ある日の活動報告、そして人柄を伝える内容です。政策など難しい内容よりも、むしろ“人となり”がわかる、カジュアルなコンテンツがよく見られる傾向がありました。