おぼえていますか?「アウディ A2」20世紀末に登場した画期的な1台
大林晃平: このアウディA2が発表された当時、私の友人などは一様に、なんだか格好が悪く、ダンゴムシみたいな車、と比喩していたのは、もう20年以上も前のこと。それからあらためて今見直すと、A2、そんなに不格好でもないし、時代遅れに見えないのは大したものだと思う。嘘だと思ったら、当時のライバルであったはずの、メルセデス・ベンツAクラスの1999年モデル(つまり一番最初のAクラス)と見比べてごらんなさい、あっちの方がはるかに古くさく、時代を感じさせるし、蛇腹式のサンルーフモデルなんかは、はるかにダンゴムシにそっくりのスタイルに見えるから。 それにしても、なんでまたA2はこんな背の高い格好をしているかというと、当時省燃費の車を一生懸命に開発していたアウディは、空気抵抗を減らすために、かなり車高の低い形の小型車を開発していたのだという。ところがそれを見たフェルディナンド ピエヒ様が、「そんなぺったんこで実用性の低いクルマなんて、誰も買わねえよ」と激怒し、「もっと車高が高くても実用性のあるクルマをつくらんかい!」と発言したため、こういう形になったと言われている。まあピエヒの意見はもっともで正当性もあるが、いきなりの設計変更に開発者はきっと胃の痛む思いだったことであろう。ブガッティ ヴェイロンの「1000馬力で400km出る市販車を作れ!」というピエヒのわがまま発言の時もそうだが、今ならパワハラともとられかねない無茶な要求を言いつつ、なんとかそれを実現させてしまうところが、ピエヒというワンマン剛腕会長ならではのところだ。 さてそんなバックグラウンドで開発されたA2は内容にも先進的な部分が多く、特にそのアルミ素材の使い方や、3リッターカーの存在など、時代を先取りにした部分の多い小型車であった。ここでいう3リッターカーとは、このころのセドリックやクラウンにあった3000ccの排気量の車ではもちろんなく、100kmを走るのに3リッターの燃料しか使わない低燃費を意味している。ということは、リッター33.3km/ℓ以上走るということで、この頃にはそりゃあすごいエコロジカルだ!すごい!!とびっくり仰天したものである。
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