海外メディアは北京冬季五輪をどう総括したのか「ワリエワのドーピング“スキャンダル”と問われる五輪の存在価値」
「中国はプロパガンダを売り込む必要すらなかった。結局、中国共産党はこの大会で望んでいたものをすべて手に入れている。習近平は、中国での冬季五輪開催という大きな賭けに勝ったと言っても過言ではない。少なくとも、国内の視聴者にとっては、大成功としか言いようがないだろう」 そして同記者はこう続けた。 「ワリエワの話は、ロシアのドーピングの歴史、IOCの無気力な罰則構造、スポーツにおける大人の虐待行為、そして世界の注目を浴びながらベストを尽くすことができなかった子どもたちの存在と多くの問題を含んでいた。数年後に北京五輪の記憶として残るのであれば、このことだろう。そして最後にスケートをしたのは中国だった」と、暗に中国側から見れば、大会が成功に終わったことを付け加えた。 英BBCは、「ワリエワの話題が大会に影を落とした」とワリエワのドーピング違反問題について触れ、女子スケルトンでソチ五輪、平昌五輪と連覇したリジー・ヤーノルド氏がBBC ・TVで語ったコメントを紹介した。 「アスリート全員が公平さを求めており、我々もアスリートの健康とメンタルヘルスを守りたい。私が学んだ最も大きなことは、アスリートも人間だと思い出したこと。我々は若いアスリートたちを守る必要がある」 一方で「輝きの瞬間もあった」とし今大会の明るい話題をピックアップした。 「ノルウェーは雪の競技を支配し、16の金と合計37のメダルを獲得した(国別で1位)。中国の18歳のアイリーン・グー(谷愛凌)は、ビッグエアとハーフパイプで金メダルを獲得して大会スターの1人となった」 また注目の集まった話題として「スノーボードのショーン・ホワイトは、ゲレンデでのキャリアを終えた。最大のサプライズは、大会前にスキーアルペン競技のすべてを制覇すると期待されていた米国のミカエラ・シフリンだった。彼女は最も得意とする種目でコースアウトし、すべての種目でメダルを手にすることができなかった」と振り返った。 同メディアは、「メダル獲得数を過去最高とした中国に成功をもたらした大会だった一方で、大会に向けて問題になっていた人権の虐待やテニス選手の彭帥の安全といった疑念は残されたままでいる」とも続けた。 数多くの問題を残したまま北京冬季五輪は幕を閉じ、4年後のミラノ/コルティナ五輪へバトンを渡すことになった。 (文責・論スポ/スポーツタイムズ通信社)