海外メディアは北京冬季五輪をどう総括したのか「ワリエワのドーピング“スキャンダル”と問われる五輪の存在価値」
「北京の人々から完璧に隔離されたパンデミックの現状、主催国政府が関わっていないようなふりをしているジェノサイド(ウイグル族弾圧)の問題、アスリートやジャーナリストら関係者にプリペイド携帯電話を支給して監視した独裁体制のレベル、不正を頻発させてきた選手(ワリエワ)に競技を許した不道徳、その(選手の)同じ国(ロシア)によって切迫している戦争の危機といったものだ」 さらに「アスリートたちは何とかしてパフォーマンスを高め、むき出しの感情を見せてこの(五輪)活動をやり遂げようとした。だが、今回、最も記憶に残る感情の部分は女子フィギュアシングルで金メダル最有力候補だったワリエワがドーピング違反の疑念の中で競技し、よろめいて順位を落としたときのものだろう」と指摘。 「そのフィギュアで金メダルの17歳のアンナ・シェルバコワは唖然として1人で座っていた。17歳で銀メダルのアレクサンドラ・トルソワはむせび泣き、彼女の歴史的な滑りが勝利を得るに十分でなかったため、引退をほのめかした。そして15歳のワリエワは顔をくしゃくしゃにして肩を震わせ、彼女の夢は粉々に打ち砕かれた。我々は、この子供たちに何をしたのだろうか?」と続け、ROCの3人が競技後に見せた複雑な表情を紹介した。 そして「五輪は価値のあるものだろうか? まだそうだと思う。だが、どのように行うことができるのか考え直す必要がある」と問題提起して五輪を総括した。 米USAトゥデーは「中国は今大会で望んでいたものをすべて手に入れた。ドーピング・スキャンダルのおかげだ」とのタイトルで大会を風刺するコラム記事を掲載した。 記事を書いたダン・ウォルケン記者は、記者会見の様子なども描写しながら大会当初にあった戸惑いの様子をこう伝えた。 「国際メディアは(大会前から)新疆ウイグル自治区での少数民族に対する虐殺疑惑や、香港での自由に対する弾圧などを次々と報じていた。それに対抗してか、海外メディアがIOCのアダムス報道官に、その日の話題を振っても、中国の報道陣は、すぐにパンダのマスコットが店に置いてあるかどうかや、旧正月に行われるランタンフェスティバルについて質問してきた」という。 しかし、ワリエワのドーピング違反問題が勃発すると、そこに批判が集まり、中国の人権問題などが話題に上がらなくなった。