見どころたくさん!東京・玉川上水をたどるハイキング②三鷹から玉川上水駅へ
かつて江戸市中を潤した玉川上水。400年近くもの時を経た今では緑道が整備され、豊かな自然が保たれている。町並みや移ろう自然風景だけではなく、近現代の遺構や技術の結集も点在しており、いろいろな発見や学びが得られるのもおもしろい。
三鷹からスタート
前回は浅間橋から三鷹までの区間を紹介したが、今回はその先三鷹から、西武拝島線と多摩都市モノレールが交わるその名もずばりな玉川上水駅まで。東西に延びるJR中央線からそれて、斜めに北西に向かう形だ。前回よりも長い距離となるが、はたして道中にはなにが待っているのだろうか。 JR三鷹駅の北口を出て左に向かい、桜通り沿いにある木々に囲まれた緑道を抜けて、けやき橋の交差点を渡る。交差点の脇には、古めかしい庚申塔の祠があった。 やがて玉川上水は、けやき橋西交差点から右斜め前の細い通り沿いに続いていく。道路のすぐ横に土道が延びているのがなんだか新鮮だ。しばらく歩いていくと、車通りの多い新武蔵境通りに出る。 新武蔵境通りの信号手前に、「中島飛行機武蔵製作所工場引き込み線橋台跡」の案内板があった。よく見えなかったが、橋台自体は玉川上水にかかる橋の下にあるようだ。かつてこの付近に軍需工場があり、武蔵境駅から引き込み線が延びていたという。
近現代の上水路が近接
新武蔵境通りを渡り、広大な境浄水場を右に見ながら進む。ちなみにこの境浄水場の北西には、狭山丘陵にある山口貯水池(多摩湖)に向かって狭山・境緑道がまっすぐに延びていて、散歩やサイクリングスポットになっている。山口貯水池からはるばるこの境浄水場へ水道管が通っていて、その上に緑道が作られているのだ。境浄水場付近は、近代と現代の上水路が近接する場所といえる。 ちなみにその狭山・境緑道は約10kmほどで、ほとんどの区間が舗装されている。1カ所だけ、石神井川との交差部分に「馬の背」といわれる尾根上のトレイルが並行する。
千川上水が分岐する境橋へ
やがて境浄水場の門がある桜橋に着き、交差点を渡ると『武蔵野』で知られる国木田独歩(くにきだどっぽ)の文学碑がある。そしてこの先、右側には広い舗装の歩道があるのだが、再び土の道が続く。やや狭いものの、貴重な土道を踏み踏み進んでいく。 しばらく歩けば、五日市街道の幹線道路と交わる境橋に到着。かつて水回りの管理が行われていた境水衛所(さかいすいえいじょ)があった場所で、立派な玉川上水の碑が立っている。少し開けているので、ひと息つけるポイントだ。 この境橋からは、北東に向けて千川上水が分岐し、青梅街道と交わる所までは開渠となっており水の流れが見られる。 千川上水もやはり武蔵野台地上の高台を通っていて、吉祥寺北部を抜けて暗渠に変わってから上石神井、練馬を経て、途中、有楽町線・副都心線の千川駅付近を通る。千川駅の名はまさにこの千川上水から由来しているのだ。さらにその先、板橋方面まではるばる続いていき、西巣鴨に至る。かつてはさらに先、駒込の六義園(りくぎえん)などへと流れていたという。