「一番幸せな時間。伸びる余白はまだある」東福岡が35度目の花園へ 「打ち砕かれた」春の屈辱からフェニックスが底力
◆全国高校ラグビー大会福岡県予選決勝 東福岡80―5筑紫(9日・ベスト電器スタジアム) ■「ラガーマンの車って感じですね」福岡堅樹さんが新車紹介【写真】 全国のトップを争ってきた強豪の底力を見せつけた。東福岡が筑紫を大差で破り、25年連続35度目の花園出場を決めた。「花園に帰るという一番の目標を達成できた。勝てたことには満足しています」と藤田雄一郎監督はうなずいた。 前半6分にプロップ武田粋幸(2年)が先制トライ。その後もほとんど自陣にとどまることなく攻め続けた。両サイドへと広くパスを回す自在な攻撃と、相手のタックルにも止められない突進力で前後半で12トライ。高校日本代表候補のCTB深田衣咲(3年)が前半29分、相手ディフェンスをキックでかわしゴールエリアに飛び込む技ありのトライをあげると、後半15分にも独走でこの日2トライを決めた。1月の花園決勝を経験した深田は「ランには自信をもっています」と50メートル6秒0の自慢の快足でチームを引っ張った。 花園では22年度に優勝、昨年度は準優勝と2年連続で決勝へ進出したが、現チームは結果を残せていない。下級生が中心となったチームは3月の全国高校選抜大会では初戦で目黒学院(東京)に敗退。6月の全九州高校ラグビー大会では決勝で大分東明に敗れ、夏の全国7人制大会でも上位へ進めなかった。「根本的なところで打ち砕かれたので、シンプルなことをしっかりやってきた」と藤田監督が言うとおり基本に立ち返り厳しい練習をこなしてきた。「目黒学院に負けたとき藤田監督とキャプテン(古田学央主将)と話をしました。そこで3年生がもっともっと頑張って、チームを引き上げなくてはいけない。ここから頑張れるかが勝負になると話をしました」と深田は話す。「春から選手は変わることなく一生懸命頑張ってきた」と藤田監督が認める厳しい練習をこなし、6月の夏の全九州高校ラグビー予選では36―24と逆転で勝った筑紫に大勝するほどの成長ぶりを見せた。 この勝利にも「まだ全国で戦うレベルではない」と藤田監督は厳しく現状を見つめている。全国での実績がない今年の花園はノーシードとなる可能性もある。「どのチームもうちより格上」と藤田監督は全国舞台を見据える。 全国高校ラグビー大会は12月27日に大阪府東大阪市の花園ラグビー場で開幕。「ここから1カ月が一番幸せな時間。伸びる余白はまだあると思います」と藤田監督はチームの成長に期待する。「フェニックス(チームの愛称)」の精神を受け継ぐ選手たちはさらに強くなって花園に乗り込む。(前田泰子)