【競技担当が注目】悲願の金メダルへ "リレー侍" パリの地で復活なるか
その約1週間前、7月13~15日には、ナショナルトレーニングセンターで国内最後の合宿を実施。練習が公開された14日、選手らが入念に確認していたのはバトンパスでした。バトンの受け渡し区間=30mの「テークオーバーゾーン」+10mの全40mのタイムを計測。この40mを3秒70~75で走ることができれば、メダルが狙えるという指標があります。 この日の練習パターンは4種類。2走:柳田選手→3走:桐生選手、3走:鵜澤選手→4走:東田選手、3走:桐生→4走:上山選手、1走:坂井選手→2走:柳田選手という組み合わせを試しました。6本走り、そのうち3本が指標をクリア。"カミソリスタート"と呼ばれる、鋭い飛び出しが持ち味の1走:坂井選手→大きなストライドが武器の2走:柳田選手のバトンパスでは、この日最速の3秒68をマークし、その速さに「おお!」という、どよめきが起こっていました。
チーム最年少ながら、大きな声を出して練習を盛り上げていたのが、大学3年生の柳田選手です。短距離チームを統括する土江寛裕ディレクターも、"エース"と期待を寄せる柳田選手は、2023年7月のアジア選手権で10秒02の自己ベストをマークし優勝。今年4月にもアメリカの競技会で10秒02を記録しています。さらに、6月には追い風参考記録ながら9秒97をマークするなど、成長著しい選手。しかし、パリ五輪代表選考会の日本選手権では3位となり、100m個人での出場権をつかむことはできませんでした。レース後には、「五輪のトライアルが近づくにつれて、不安でどうしようもない日もあった。代表をとれなかったのが悔しい」と涙ながらに語っていた柳田選手。土江ディレクターの「腹くくってリレーで金メダルとるぞ!」という一言に奮起し、気持ちを切り替えることができたといいます。 大学の先輩にあたる桐生選手とのバトンパス練習では、「よし!よし!」と大きな声を出す柳田選手の姿が。「1本目がかなりギリギリで、それを踏まえた2本目だったので、タイムは落ちましたけど、"安全バトン"というか、合格点が出るくらいの感じだったので、安心して声出ちゃいました(笑)」とこの日は、笑顔がはじけていました。