韓国大統領の内乱罪・弾劾罷免の可能性が高まった! 戒厳令は尹錫悦大統領の身内びいきの末の乱心だ
■選んだカードが「非常戒厳」宣布 しかし、尹大統領がまずとった選択は「非常戒厳」の宣布だった。 与党関係者の1人は、戒厳令という常軌を逸した強硬策を「決して安易な思いつきではなく、熟慮の末に導いた尹大統領なりの結論」だったという。だが、仮にそうだったとしても、現実を見ることのない、無責任で独りよがりの判断でしかない。 時が進むにつれ、尹大統領の指示の浅はかさは次々に明らかになってきた。 「非常戒厳」の解除決議案に野党とともに賛成した与党の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は12月5日、野党が提出した弾劾訴追案には「(弾劾の)混乱による国民と支持者の被害を防ぐため、(国会で)可決されないよう努める」と、いったんは述べた。
だが、その方針は1日も持たなかった。翌12月6日には新たな事実が判明したとして、尹大統領の「早期職務停止が必要」と述べ、弾劾訴追案に賛成票を投じる考えを明らかにした。 別の与党関係者によると、「新たな事実」とは、尹大統領が情報機関の国家情報院(国情院)の第1次長に対し、軍と協力して韓代表を含む与野党の政治家らを逮捕するよう指示したことだった。第1次長がこれに難色を示すと即、更迭されたという。 国情院の次長はトップの長官に次ぐポストで、第1次長は海外情報を担当する。最近では、欧州を訪ね、NATO(北大西洋条約機構)やEUの関係者らと北朝鮮のロシア派兵問題を協議した。
尹大統領と韓代表の間は、金建希氏の疑惑への対処などをめぐり、すでに冷え込んでいた。とはいえ、軍だけでなく、情報機関の幹部まで動員して与党代表を拘束しようとしたことが事実なら、尹大統領は正気を失った状態だったと推察される。 もともと身内びいきの閉鎖的な体質が指摘されてきた尹大統領は、総選挙での与党大敗後、さらに内向きな高官人事を進めた。「非常戒厳」を尹大統領に建議した金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防相はその典型例とされる。