J内定逸材がプロで「大きなミス」 悔やんだ“不甲斐なさ”、送り出した大学へ「申し訳ない」【コラム】
ルヴァン杯決勝でフル出場、来季新潟入り内定のCB稲村隼翔が抱いた思い
聖地を熱狂させた死闘の余韻と、延長戦でも決着がつかず、3-3から突入したPK戦の末に名古屋グランパスに4-5で敗れた悔しさ。異なる感情を抱きながら戻った国立競技場のロッカールームで、アルビレックス新潟のセンターバック(CB)でフル出場した稲村隼翔はある試合の結果を検索していた。 【動画】「全盛期のバルサかよ」 新潟がパス20本越えビルドアップからゴールシーン 気になったのはルヴァンカップ決勝から1時間遅れで始まり、名古屋の3シーズンぶり2度目の戴冠とほぼ同時刻に終わった11月2日の関東大学サッカーリーグ1部の第20節。稲村が所属する東洋大学は、前半に背負った2点のビハインドを取り返せないまま、首位の明治大学に零封負けしていた。 取材エリアに姿を現した稲村は「感謝しかないです」と、胸中に秘めた思いを語りはじめた。 「監督もスタッフも自分のキャリアに対して真摯に向き合ってくれて、こういう判断をしてくれた。選手のみんなも『お前がいなくても勝てるから、しっかりやってこい』と言ってくれた。だからこそ今日は勝って、皆に『優勝したよ』と報告したかった。チームにはまず『ありがとう』と、そして『申し訳ない』と伝えたい」 来シーズンからの新潟加入が昨年に内定した稲村は、JFA・Jリーグ特別指定選手として承認され、タイミングが合えば新潟が臨む公式戦に出場してきた。特に大学の試合がないミッドウィークに開催されるルヴァンカップでは、最終ラインに欠かせない存在感を放ってきたなかで10月に入って状況が一変した。 川崎フロンターレとの準決勝。第1戦は9日の水曜日に行われ、稲村がフル出場した新潟が4-1で先勝した。対照的に第2戦が行われた13日は日曜日で、東洋大は12日に東京国際大とのリーグ戦が組まれていた。当初は第1戦限定の帯同だった稲村は、電話越しに東洋大の井上卓也監督へ新潟でプレーしたいと伝えた。 「自分の思いを伝えました。監督も『行きたいと思うほうに行っていい』と言ってくれたので」 稲村が再びフル出場した第2戦も2-0で制し、クラブ史上で悲願の初タイトル獲得へ王手をかけてからは東洋大の一員に戻り、筑波大戦、関東学院大戦とフル出場を続けてきた稲村は再び選択を迫られる。そして、井上監督をはじめとするサッカー部に背中を押されながら、稲村は名古屋との決戦でも先発に名を連ねた。