犬は飼い主の存在をどうやって認識しているのか|獣医師解説
飼い主さんが少し離れたところにいても、愛犬が飼い主さんがいることに気づいて駆け寄ってきた――そんな経験をしたことのある飼い主さんも多いことかと思います。 【写真】散歩中の柴犬 犬はどのようなことをたよりにして、「あの人が飼い主さんだ」と認識しているのでしょうか。いぬのきもち獣医師相談室の原 駿太朗先生に聞きました。
犬はどうやって飼い主さんのことを認識しているの?
――犬はどのようにして飼い主さんのことを認識しているのでしょうか? 原先生: 「犬の視力は平均0.2~0.3程度で、焦点を合わせる能力が弱いといわれています。犬の目には飼い主さんの姿はぼやけて見えており、すりガラスを通したようなシルエットとして認識しているでしょう。 犬は人と比べて、聴覚や嗅覚がとても優れていることが知られています。そのため視覚に比べて、聴覚や嗅覚をたよりに飼い主さんのことを認識している可能性が高いのではないかと考えられます」
犬は飼い主さんの顔を覚えることができるの?
――犬は視力が劣っているとのことですが、飼い主さんの顔を覚えることができるのでしょうか? 原先生: 「繰り返し見ている飼い主さんの顔に関しては、犬も覚えることができると思います。ただ、細かい顔のパーツを覚えているというより、飼い主さんの全体的な表情や特徴的なしぐさを記憶していると考えられています」
老化や病気によって、飼い主さんを認識することが難しくなることもある?
――たとえば、犬の老化や病気などによって、以前よりも飼い主さんを認識することが苦手になる、難しくなることもあるのでしょうか? 原先生: 「老化や病気が影響して、飼い主さんかどうか認識することが難しくなることもあります。その場合、いつものように呼びかけたり触ったりしても、犬の反応が弱かったりすることがあります。 ただ、それだけで病気だといえないケースもあるので注意が必要です」 ――もしなんらかの原因で犬が飼い主さんのことを認識しづらくなってしまった場合、飼い主さん側が「犬の認識の手助けになるように」と、日頃からなにか工夫してあげることができますか? 原先生: 「犬のさまざまな感覚に積極的に刺激を与えられるようにすることが重要ではないでしょうか。 たとえばですが…… ・普段から愛犬への声かけを増やしてみる ・強い香りの香水やハンドクリームは控えるようにする ・認知機能を刺激するような遊びや運動を取り入れたりする などといったことは、犬の認知機能を高めることにつながるかもしれません。 『愛犬が以前よりも飼い主のことを認識しづらくなっているのでは? 』と飼い主さんが感じたときに、それが老化による認知機能の衰えなのか、なんらかの病気が影響しているのかどうかというのは、飼い主さんが判断することは難しいかと思います。 愛犬の飼い主さんへの反応がいつもと違う、様子がおかしいなど気になることがあれば、動物病院を受診しましょう」 (監修:いぬのきもち獣医師相談室 獣医師・原 駿太朗先生) 取材・文/柴田おまめ ※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです ※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください ※記事の内容は2024年11月時点の情報です。
いぬのきもちWeb編集室