今年の箱根駅伝は”豊作”1年生が勝敗のカギを握る!
花の2区には東洋大・松山和希と専大・木村暁仁が登録された。松山は昨年の全国高校駅伝1区で区間2位に入っている選手で、今季は5000mで自己ベストを2度更新している。全日本2区は区間7位と不満が残る内容だったが、箱根2区では前回、青学大・岸本大紀がマークした日本人1年生最高の1時間7分03秒を意識している。木村は箱根予選会でチームトップ(個人44位)。専大の7年ぶり復活の原動力になった。今回は厳しい戦いが予想されるが、1年時の経験を今後のステップにしたいところだ。 他の有力ルーキーも補欠に入っている。そのなかで注目したいのが全日本大学駅伝で区間賞・区間新の快走を見せた青学大・佐藤一世と東海大・石原翔太郎だ。両校は優勝を狙っているチームだけに、スーパールーキーの走りがポイントになる。 佐藤は昨年の全国高校駅伝1区で日本人最高の28分48秒をマークしている実力者。全日本5区は従来の記録を19秒更新して、区間2位に15秒差をつけている。箱根は4区もしくは7区での出場が予想されるが、区間賞を奪う走りができると、青学大の連覇が現実味を帯びてくる。 石原は昨年の全国高校駅伝1区で28分56秒の区間5位。非厚底シューズでは最高位に入っている。今季は5000mで13分51秒03の自己新をマークすると、ナイキ厚底シューズで出走した全日本4区を快走。順大・塩尻和也(現・富士通)が4年時に樹立した区間記録を32秒も塗り替えた。箱根は3区もしくは4区での起用が予想される。3区は前回、スーパールーキーと騒がれていた駒大・田澤廉が1時間1秒25秒(区間3位)の区間新で走っている。田澤を超えるような走りができると、東海大の王座奪還が近づいてくるだろう。 全日本との2冠を目指す駒大の1年生も超強力だ。箱根には5人がメンバー入りして、3区に青柿響、7区に花尾恭輔が登録された。山区間は変更する可能性が高く、ここに1年生が起用されるのではと予想している。なかでも注目は日本インカレ5000m3位の鈴木芽吹だ。東海大・両角速駅伝監督が「5区候補」として熱心に勧誘してきた素材だけに、5区での起用も考えられる。いずれにしても鈴木はポイント区間での出場が濃厚。駒大のスーパールーキーが区間賞争いに加わると、チームの2冠と“黄金時代到来”が見えてくるはずだ。 順大のもうひとりのスーパールーキー・石井一希も忘れてはならない。箱根予選会はハーフマラソンU20日本歴代7位の1時間2分09秒で個人21位。1年生では三浦、吉居に次ぐ3位に入っている。全日本大学駅伝では八千代松陰高時代のチームメイトである青学大・佐藤一世と5区で激突。区間賞争いに敗れただけでなく、7秒遅れで走りだした佐藤に抜かされている。本人は箱根でのリターンマッチを望んでいるが、何区に起用されるのか。今年度の1年生はハイレベルで楽しみな選手が多い。2024年パリ五輪、2028年ロス五輪を担う世代でもある。彼らが箱根路で巻き起こす“新たな風”をテレビ画面からしっかりと感じていただきたい。 (文責・酒井政人/スポーツライター)