元寇船発見「2桁に乗せたい」 池田・国学院大教授が今後の調査を展望
九州北部にモンゴル帝国が侵攻した「元寇(げんこう)」の戦場跡である鷹島海底遺跡(長崎県松浦市)を紹介する特別展が、東京都渋谷区の国学院大博物館で開かれている。3隻目の沈没船が10月に確認されたばかりの同遺跡。調査する同大の池田栄史教授は会期中のトークイベントで「どこを掘れば船が出そうか、リストアップはできている。2桁には乗せたい」と意気込んだ。 【写真】3隻目の元寇船か 船の一部とみられる木材の横から見つかったつぼと皿 鷹島沖は、2度目の襲来の弘安の役(1281年)の際、停泊した軍船が嵐で沈没したと伝わる。1980年代から調査が続き、池田教授のチームは2011年に1隻目、14年に2隻目を発見。昨年海中で見つけた構造物を、今年3隻目と断定した。一帯は12年、海底遺跡で初めて国史跡となった。 会場には、元の文字を刻んだ「管軍総把印」や火器の「てつはう」を展示。デジタル画像を元に1、2隻目の残存状況を立体化した模型や、潜水スーツ、水中で作成した図面を並べ、調査、分析手法も解説する。 10月13日にあったトークイベントは、用意した70席の倍以上となる約150人が来場し、鷹島海底遺跡や水中考古学への関心の高さをうかがわせた。池田教授は3隻目について、保存状態が良く、今後引き揚げる候補になり得るとした。 国内にある水中遺跡は約400カ所。陸上の遺跡に比べればごくわずかで、新たな発見の可能性を秘める。鷹島を舞台に06年から海底の地形や地質を調査し、方法の確立にも努めてきた池田教授は「予算も人材も必要。市町村だけでなく、県や国の単位で包括的に取り組めば遺跡の数は増える」と強調した。 (諏訪部真) ◇特別展「海底に眠るモンゴル襲来」は24日まで。30日からは熊本県の菊池神社などに伝わる「蒙古襲来絵詞」模写本を公開する。