<独自>削除要請受けた牛島司令官の辞世の句 陸自15旅団の公式HPに年明け再掲載へ
先の大戦末期の沖縄戦で旧日本軍を率いた牛島満司令官の辞世の句について、陸上自衛隊第15旅団(那覇)が、旅団のホームページ(HP)に再掲する方針を固めたことが27日、関係者への取材で分かった。辞世の句を巡っては一部の市民団体などから「自衛隊による旧日本軍の美化」といった反発が出ており、掲載を一時見合わせていた。旅団は年明けのHPリニューアルに併せ再掲を検討。沖縄の再興を願って詠んだ句は、貴重な歴史的資料だとして再掲を判断したとみられる。 沖縄戦では、昭和20年6月23日に守備隊の牛島第32軍司令官が自決して組織的戦闘が終結するまで日米約20万人が戦死し、沖縄県民の4人に1人が犠牲になった。 《秋待たで 枯れ行く島の 青草は 皇国の春に 甦らなむ》 牛島司令官は沖縄の再興を祈って、この辞世の句を残した。 旅団によると、平成30年から旅団の沿革を紹介するページに辞世の句を掲載。沖縄が本土復帰を果たした昭和47年、旅団の前身にあたる臨時第1混成群の初代群長を務めた沖縄出身の桑江良逢氏の訓示とともに、歴史的資料として示していた。 ただ、掲載から約6年が経過した今年6月になって、地元紙が疑問視する報道をすると、県内の一部識者らが「県民を犠牲にした日本軍と自衛隊のつながりを示し、美化するような内容」などと批判を展開し始めた。 他のメディアも一斉に報じ、市民団体が「明らかな憲法違反だ」などとして削除を求める騒動に発展した。 このため、旅団は10月31日、HPのリニューアルに伴い、句の掲載を一時見合わせ、再び掲載するかどうかも含め、検討を重ねていたという。