何が本当で何が嘘? フェイクカルチャーが横行するSNSの現状とは。
フェイクというものがこれほど世の中に浸透した時代はないかもしれない。SNSとAIの発達により、まやかしが人々を惹きつけ、弱者を不安に陥れる。何がフェイクで何がリアルなのだろう。 死んだとみんなに思わせ、自分の葬儀にヘリコプターで登場して参列者をあっと言わせる。これを2023年に実際やってのけたのがベルギー人ティックトッカーの通称ラグナール・ル・フーだ。彼には17万人のフォロワーがいる。「人生の教訓をみんなに与えたかった。人を愛するなら生きている間にしないと」と本人は悪びれない。壮大な悪ふざけだが、元米国共和党下院議員のジョージ・サントスなら大喜びしそうだ。彼はコンピューター詐欺、マネーロンダリング、下院に提出した書類への虚偽記載で起訴されて除名処分となり、失職した。全世界に報道されたこの事件、本人の経歴が全くのでっち上げだったのがわかったのは2022年のことだった。彼が語っていた経歴は以下の通り。曰く、自分はユダヤ人で祖父母はホロコースト難民だった。ニューヨーク大学を卒業し、金融界に入ってゴールドマン・サックスで働いていた。13件の不動産物件を所有しており、同性愛者で既婚である。ところが実際は独身のカトリック信者、学歴もすべて嘘で、ゴールドマン・サックスで働いたこともなく、不動産も所有していなかった。つまりすべて嘘だったのだ! オーストラリア女性のベル・ギブソンも同類だ。ウェルネスに特化したインフルエンサーだった彼女は脳腫瘍を患っていると語った。そして健康的な食事とアーユルヴェーダ医学のおかげで体調が良くなった、その秘訣は自分のアプリや料理本を読めばわかると売りこんだ。ところがしばらくして、彼女は前言撤回し、ガンが血液や臓器のなかで進行していると告げてファンを悲嘆にくれさせた。2015年になり、雑誌の追及を受けた彼女は仮面を脱ぎ捨て、すべてが作り話だったことを認めた。病気だったことは一度もなかったのだ......。同様のつ作り話で2023年、19歳のアメリカ人ティックトッカー、マディソン・ルッソが逮捕された。人々に自分が膵臓ガンだと思わせて寄付を募ったことが罪に問われている。懲役10年が噂されている。