鉄道業界・2015年の動きを予習 ── 北陸新幹線開業など(鉄道ライター・伊原薫)
寝台特急は風前の灯に
さて、2015年の話題として忘れてはならないのが、豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」と「北斗星」の運行終了。JR発足直後に誕生したこの2列車は、A寝台個室「スイート」「ロイヤル」をはじめとした個室中心の車両構成や、コース形式のディナー提供など、それまでの寝台列車のイメージを一新。以来、四半世紀にわたって高い人気を誇ってきました。 車両の老朽化に加え、北陸本線の第三セクター転換や、青函トンネルを使用する北海道新幹線の開業準備などで運転継続が困難となり、いずれも今年中にその役目を終えます。同じく青函トンネルを通る寝台特急「カシオペア」や急行「はまなす」の今後も予断を許さない状況で、そうなると残る寝台列車は「サンライズ瀬戸・出雲」だけとなります。近い将来、寝台列車は「ななつ星in九州」のように、抽選で当たった一部のお金持ちしか乗車できない、高嶺の花となってしまうのでしょうか。 以上、2015年の鉄道トピックスをいくつか取り上げてみました。スピードや効率化が優先される時代の流れは鉄道も同じで、北陸新幹線の開業する今年から北海道新幹線の開業する来年、そしていよいよ工事が本格化するリニア中央新幹線など、その流れはより加速していくのかもしれません。 華やかな話題も多い一方、地域の未来を乗せて奮闘する鉄道にとっても明るい1年となることを願いたいものです。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる) 大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。