鉄道業界・2015年の動きを予習 ── 北陸新幹線開業など(鉄道ライター・伊原薫)
上野東京ラインで人の流れが変わる?
首都圏の人たちにとって一番大きな話題は、上野東京ラインの開業でしょうか。文字通り、上野と東京を結ぶこの線路によって、東北本線・常磐線と東海道本線の直通運転が可能になります。 例えば、高崎や水戸から品川へ通勤していた人の場合、これまでは日暮里や上野での乗り換えが必須でしたが、ダイヤ改正以降は約半数の列車が直通することに。また常磐線の特急列車も大部分が上野始発から品川始発となるので、水戸から大阪への出張という時も格段に便利になります。 前述の通り、日暮里や上野での乗り換えが不要になることで、同区間の山手線・京浜東北線の混雑緩和にも一役買いそうです。 中部圏では、JR武豊線の電化が挙げられます。ベッドタウンとして沿線の人口増加が著しい同線は、約5年をかけて進められていた電化工事が完成。3月1日より気動車に代わって電車が運転され、東海道線との車両共通化によって増結やスピードアップなど、弾力的な運用が期待されます。 もう一つは、現在近鉄が運営している内部・八王子線の「四日市あすなろう鉄道」への移管。同線は、駅や線路敷、車両といった施設を四日市市が保有し、近鉄と四日市市が出資する四日市あすなろう鉄道がこれを借用して運営にあたる「公設民営方式」となります。
東日本大震災で被災した路線の復興も進む
発生からまもなく5年目を迎える東日本大震災。依然として一部路線が不通となっていますが、6月には仙石線の高城町~陸前小野間が復旧する予定です。このうち、陸前大塚~陸前小野間は住宅地の高台移転に合わせて線路も移設されます。これにより仙石線は全線が復旧、さらに同時期には高城町駅と東北本線松島駅を結ぶ連絡線も開業し、両線の直通運転も始まります。 一方、運休が続く山田線の宮古~釜石間について、その経営を三陸鉄道へ移管することで両社や宮城県・沿線自治体が合意。復旧に向けて大きく前進しました。工事は今春にも始まる予定で、来年には一部区間での運行再開を目指すとのことです。 震災と直接は関係ありませんが、東北地方ではもう一つ、仙台市営地下鉄の東西線が12月に新規開業します。仙台市内を東西に貫く初の鉄道路線は、東北の復興に新たな力となることでしょう。