鉄道業界・2015年の動きを予習 ── 北陸新幹線開業など(鉄道ライター・伊原薫)
いよいよ始まった2015年。昨年・2014年はE7系新幹線車両をはじめ様々な新型車両がデビューした一方、路線廃止や引退した列車など、鉄道業界にも多くの明るい話題・暗いニュースが飛び込んできました。今年はどんな出来事があるのか、ちょっと「予習」してみましょう。
北陸新幹線開業で激変する北陸の鉄道網
今年1番のトピックといえば、何と言っても北陸新幹線。3月14日のダイヤ改正で、長野~金沢間がいよいよ延伸開業します。東京~金沢間は直通タイプの「かがやき」最速列車で2時間28分と、これまでの越後湯沢ルートより1時間19分の短縮となります。東京・金沢での滞在時間はグンと長くなり、日帰り出張や観光も十分可能に。 気になる運賃は、東京~金沢で1万4120円、東京~富山で1万2730円(いずれも通常期の普通車指定席料金)となり、越後湯沢ルートより1070円・820円の「値上げ」です。とはいえ、所要時間は従来の2/3と大幅に短縮されるので、この程度なら妥当といったところでしょうか。 ただし、便利になるばかりではありません。北陸新幹線の延伸開業と同時に、大阪・名古屋~富山間を走っている特急「サンダーバード」「しらさぎ」は金沢までに短縮され、富山方面へは乗り換えが必要になります。また、並行在来線となる北陸本線の金沢~直江津間と信越本線の直江津~長野間は、各県や自治体が主体となる第三セクター鉄道へと経営移管されます。 例えば金沢~直江津は倶利伽羅・市振を境界に3社が運営することになり、運賃も各社独自に設定。同区間の運賃は現在より170円高い3190円となります。開業当初は現行のJR運賃を考慮しているため、値上げ幅も小幅となっていますが、今後の経営状況いかんによってはどうなるかわかりません。東北新幹線の全通によって経営が移管された盛岡~青森間は、JRであれば3670円であるところ、IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道の合算で5480円となっています。また、列車もほぼ全てが普通列車になるため、新幹線駅のない都市間移動は不便となり、車やバスへのシフトが懸念されます。 さらに、これまで北陸と東京を結ぶメインルートだった北越急行は大打撃を受けることが決定的です。収入の9割以上を稼ぎ出してきた特急「はくたか」が廃止となるためで、同社はこれを見越して今年度までに約130億円もの内部留保を「貯金」。30年程度は経営を続けられるとしています。 今後は更なる経営の効率化を図るとともに、直江津~越後湯沢を結ぶ列車として新たに「超快速(仮称)」を設定、「はくたか」より10分程度遅い1時間弱で結ぶ予定で、北陸新幹線に負けじと奮闘しています。 北陸新幹線が沿線の都市やそこに住む人々にとってもたらすのは、メリットかデメリットか。新幹線や並行在来線の存在意義が問われる年になるかもしれません。