「窮屈な世の中に」 駅の“タコハイ看板”に批判殺到で撤去 地元は複雑心境…サントリーに聞いた今後
5月29日撤去の報道を受け、看板を写真撮影する人も
街の人はどう思っているのだろうか。5月29日に現場を訪れると、当日看板はまだ設置されたまま。同日撤去されるといった報道を受けてか、通りがかった人が写真撮影する様子が多く見られた。航空会社に勤務する27歳の男性も、友人とともに看板を撮影。撤去されることに関しては否定的で、「別に蒲田らしく良いんじゃないのか」と答えた。また、大阪在住の夫婦は「私たちはお酒飲めないんですけど、試みとしては面白いと思います」と反応。以前行われていたアニメ『ちいかわ』とのコラボイベントの際も同所を訪れたといい、この日は帰阪予定だったが、看板を見るためだけに一度京急蒲田駅に寄ったという。男性は「いろんな人がいますからしょうがないとは思うんですけど、いやな、きゅうくつな世の中になったなと思います」と撤去を残念がっていた。 飲食店の反応も気になるところ。駅近くの商店街で居酒屋を営む店長に話を聞くと、イベントの効果はそこまで感じられていないと体感を話した。「注文はあって1日1~2組ぐらいですかね。『こだわり酒場のタコハイ』専用グラスが店に6つあるのですが、それで全然まかなえる感じですね」。 看板の取り下げについては「別に良くない? と思いますけどね。(看板を)出しているからといって、雰囲気とかが乱れるわけではないですし」ときっぱり。イベントの今後についてはまだ何も知らされていないと語った。 現在では各社がコラボしたイベントが盛んに行われ、SNSで話題となるなど良い効果ももたらしているが、今回のように批判の声も集まりやすくなる問題も存在している。また、個人の価値観がより多様化していることから、企業が中立的な立場を保ちつつ、公共の場で広告を出稿することが難しくなっているという一面もある。 サントリーは今後のイベント開催について「今後の活動について、現在決まっている変更はございません」と発表。「当社は、業界自主基準等に則り、20歳未満飲酒・飲酒運転・妊娠中授乳期の方の飲酒、多量飲酒等の不適切な飲酒防止に努め、お酒を控えている方、お酒が飲めない方への配慮をした上で、酒類販促活動を実施しており、今回もその考えに基づいて実施しています。一方で今回の活動の一部においてふさわしくないといったお声をいただいたことも確かであり、真摯(しんし)に受け止め、今後の活動も検討してまいります」と回答した。 これまでに漫画『北斗の拳』や『仮面ライダー電王』などさまざまなコラボイベントを開催してきた京急は「今後も沿線活性化につながる取り組みについて実施は検討していきますが、現時点では具体的に決まっていない」とした。
ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム