第104回:桐蔭学園が2度目の連覇 心技体バランス良く 判断も的確
第104回全国高校ラグビー大会は桐蔭学園(神奈川)が第99回(2019年度)、第100回大会以来となる2回目の連覇を達成し、閉幕した。選手の大型化が進む高校ラグビー界だが、フィジカルの強さだけでなく、心技体をバランス良く鍛え上げて頂点に立った。 【写真で振り返る】桐蔭学園-東海大大阪仰星 桐蔭学園は決勝で先発したFWの平均体重が93・6キロで、初戦の2回戦から決勝まで全5試合で相手を下回った。バックスにも大型選手は多くなかったが、ボール争奪戦で劣勢になる場面は少なかった。 ラックの作り方など基本的な技術の精度が高く、味方のサポートの早さや集散の判断も的確だった。反則も少なく、ボールの継続に苦しまなかったことが安定した試合運びにつながった。 シード校との試合では、後半に圧倒する戦いぶりが際立った。昨春の選抜大会を制した大阪桐蔭(大阪第1)との準々決勝、国学院栃木との準決勝は相手に先行を許す展開だった。それでも試合中にチームで課題を共有し、司令塔のスタンドオフ(SO)丹羽雄丸(たける)を中心に修正する能力にたけていた。多彩な戦術と高い持久力も「東の横綱」の戦いを支えた。 準優勝の東海大大阪仰星(大阪第2)は、前回大会4強の佐賀工や報徳学園(兵庫)といったノーシードの実力校との対戦を乗り越えて勝ち進んだ。大型選手が多い世代で、試合を重ねる度に精度も高まった。SO吉田琉生(るい)を中心に、全員が連動する展開力で3大会ぶりの決勝に進んだ。 常翔学園(大阪第3)は、NO8井本章介らFW陣が強さを発揮して5大会ぶりのベスト4。全国高校大会で初采配となった白木繁之監督の下、伝統校の健在ぶりを示した。国学院栃木は組織防御が光り、準々決勝でAシードの石見智翠館(島根)を破って4強入りした。 8強はすべてシード校が占めた。大分東明は5回目の出場で初のベスト8。フィジー出身留学生の「個の力」だけでなく、組織力の高まりも感じさせた。 今大会は13大会ぶりに初出場がなく、最長ブランク出場は京都工学院の9大会ぶりだった。大勢の部員を抱える強豪校同士の対戦で伯仲した戦いが見られた一方、少人数校との試合では点差が開くことも珍しくなかった。都道府県予選に出場した543チームのうち合同は91チームで、強豪校と選手集めに苦労する学校との「二極化」の傾向も顕著となった。【石川裕士】