いじめを受けたかが屋・賀屋が伝えた「学校に行きたくない」母親が連れて行ってくれたピクニック #今つらいあなたへ
夏休みの終わりが近づく8月末、学校に行くことへのプレッシャーを感じて憂鬱になってしまう子どもも少なくない。お笑いコンビ「かが屋」の賀屋壮也さんも、いじめに悩み、学校に行きたくないと感じていた時期があるという。「“学校だけがすべてじゃない”というアドバイスは正しいけれど、伝え方には工夫が必要」と語る賀屋さんに、当時の気持ちを聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
女子から陰口を叩かれていた中学時代。母親がしんどい気持ちを受け止めてくれた
――賀屋さんは、学生時代にいじめにあった経験があるとうかがいました。 賀屋壮也: 中学生のときですね。女子とすれ違うときに、聞こえるか聞こえないかぐらいの悪口を言われるという陰湿な感じで。そんな経験を重ねるうち、女子が遠くでひそひそ話しているのを見ると、「俺の悪口を言っているんじゃないかな」と疑心暗鬼になって、しんどくなっていきました。 ――悪口を言われるきっかけとなった出来事はあったのでしょうか。 賀屋壮也: おそらく出発点はこれだろうなと思う出来事はありましたね。高校生までは祖父母の家に住まわせてもらっていたのですが、その家がけっこう古い日本家屋で、お風呂も薪で沸かすタイプだったんです。煙突から出た煙が僕の部屋に直撃して、お風呂を沸かす日は部屋の中が真っ白になる。自分の部屋に学生服を干していたので、当時の僕は常に燻されたソーセージの臭いがしていたらしいんですよ。自分では気づかないんですけど。 お風呂も、薪で沸かすから毎日入るのは大変で、2~3日に1回とかになってしまう。でも、中学生の女の子たちってやっぱり臭いとかに敏感な年頃なので、それがきっかけで陰口を言われ始めたんじゃないかなと思うんですけどね。 ――いじめを受けている当時はどんな気持ちを抱えていましたか。 賀屋壮也: それはもう、しんどいですよね。学校が世界のすべてだった当時の僕にとっては、全世界から否定されているようなものですから。学校の規模もそんなに大きくなくて、1学年が40人くらい。しかも中高一貫の私立校で、陰口が始まったのは中1の終わりぐらいからだったので、「終わった」と思いました。 「目立った行動を取らないようにしよう」とか、「顔がキモいって言われるから顔を伏せていこう」と意識するんですけど、その行為がまたキモいとか言われて。いつも「どうしよう、どうしよう」とおびえていました。 ――親御さんはいじめに気づいていたのでしょうか。 賀屋壮也: 親には気づかれないようにしていたんですけど、どうしてもしんどかった日の朝、母親に「学校にはもう行きたくない」と言ったんですよ。そしたら母親は「あ、そうか。でもお弁当も作ってしもうたしね。じゃあ学校を休んでピクニックしに行くか」と言って、車で近くの山に連れていってくれて、そこで弁当を一緒に食べて。 もちろん自分の気持ちをしっかり受け止めてもらって楽になることもあると思います。でも、当時の僕からすると、あれこれ詮索せずに気分転換をさせてくれたことがめちゃくちゃうれしくて。そのときの景色もすごく覚えていて、瀬戸大橋の向こうに大きな海が見えたんです。当時はうまく言語化できなかったですけど、「世界はもっと広いよ」というメッセージを受け取っていた気がします。母とあの景色には今でも「ありがとね」と思いますね。