「子どもを産みっぱなし」で施設に預けておきながら、「他人にあげるのは嫌」と養子に出すことも拒否…それでも親を待ち続ける子どもたちの痛ましい現状
子供を「産みっぱなし」
岡田代表のいう【そうじゃない人】というのはどういった人を指すんだろうか? 「出産して『今はお金がないので1年間預かって下さい。1年後に必ず迎えに行きます』と言って、子供に会いに来ることもしなければ、連絡すらまともに取れない親もいる。最悪の場合、お金を貯めるといった期間に他に彼氏を作って、また結婚せずに出産し乳児院に預ける…なんていう方もいました。そして決して少ない数ではないのです」 言い方は良くないが【子供を産みっぱなし】という状況だと話す。 「それでも出産して、どうしていいのかわからずに遺棄してしまったりするケースを考えると、子供は生きている訳だし、いいことをしてくれてはいる。ただ乳児院に預けて、会いにもこないのに特別養子縁組にも出さない。その理由のほとんどが『今は育てられないけど、自分で産んだから他人にあげるのは嫌』というエゴだったりする。そのことの方が問題なんです」 そんな無責任な親でも子供はずっと「いつ来てくれるんだろう」と、親が来てくれるのを待ち続けているんだとか。岡田代表は「一言『特別養子縁組でお願いします』と言ってくれれば幸せにできる子は増えるのに」と悲痛な胸の内を語る。 「生まれてから3年間は本当に大事な時期。乳児院にいる子たちは、やっぱり先生が少ないから『抱っこ抱っこ』『ちょーだいちょーだい』と訴えてくるんですが、満足にはかまってあげられない現状もある。小さいから、好きな先生を独占したいんです。みんな好きな先生が帰るときは大泣きで、見ていて辛いです。成長するにつれて愛着障害が出てしまうのは致し方ないです」 愛着障害とは、乳幼児期の虐待やネグレクトにより、保護者との安定した愛着が絶たれてしまうことで子供の情緒や対人関係に障害が起きること。
高齢の夫婦でも「養子が欲しい」
親子関係が出来るまでは子供の年齢の倍はかかるそうで、例えば子供が10歳になったときに迎えに行ったとしても「ママ」と呼んでもらうことは厳しいようだ。 「子供は【可愛がるから懐く】。シンプルです。10年も育てず、面会もそこそこの人をいきなりママって呼べませんよね。里親に出すにしても3歳だったら、そこから親子関係を作るには、6年はかかると思った方がいい。大きくなればなるほど、育てていくのは難しいんです」 それは子供だけではなく親になる側の大人にもいえることだと岡田代表は声を大きくする。Babyぽけっとの養親の条件には結婚歴が3年以上、夫婦仲がいいなどの他【子供との年齢差が45歳まで】との記入がある。 「これはこども家庭庁の親子の年齢差のガイドラインによるものです。以前は40差でしたが、高齢出産が増えた関係もあり、40歳差から45歳差に変わりました。迎える時の基準として、決まりはないですが、以前は大よそ40歳なら0歳、45歳なら5歳、50歳で迎えるなら子供の年齢は10歳ですね。それだけが理由ではないですが、やっぱり保育園のお迎えとかに行った時に『おばあちゃん』『おじいちゃん』だと思われないくらいがいいかな、というのはあります」 驚くことに60代や70代の夫婦からも「養子が欲しい」という相談は少なくないそうだ。 「そういうケースは大体旦那が高齢で奥さんは若い外国国籍などのことが多いですね。結婚したし、莫大な資産があるけど、流石にもう年齢的には実子は望めないから養子が欲しい、と。ただBabyぽけっとでは産みの親にある程度の養親の開示をしているので、特に若い母親は子を手放すとはいえ『70歳のパパ!全然OKです』とはならないので…難しいです」