「子どもを産みっぱなし」で施設に預けておきながら、「他人にあげるのは嫌」と養子に出すことも拒否…それでも親を待ち続ける子どもたちの痛ましい現状
不妊治療の果てに
高齢の大富豪パターンもあれば、50代まで不妊治療を頑張った末に実子を諦め、養子を迎えたいという夫婦もいる。 「50歳までお金と時間をフルで使って不妊治療をして、やっと踏ん切りをつけて養子が欲しいと思った時には、養子をもらうことも難しい…ということはあります。実子にこだわる気持ちはわかりますが、あと1歩のところで“育ての親” になるチャンスすらも失ってしまう。もう少し早く決断してきてくれたら…と思います」 不妊治療中の夫婦からの相談も多いようで、特に男性不妊は男性側のダメージがかなり大きいそうだ。 「以前、相談に来た夫婦は大きな病院で不妊治療を10年されていました。3年間妊活をしても妊娠の傾向がないから、奥さんがご主人の精子を調べたところ、男性不妊だったと。でも、3年間はいえずに隠していたそうです。でも意を決して事実を伝えたところ『まさか俺が』と全く認めず、そこからさらに4年間不妊治療をしたとー。壮絶ですよね」 同じ男性不妊でもその事実を認めて養子を迎え、涙ながらに感謝する男性もいた。 「自身が不妊の原因だと知り、奥さんに『自分のせいで子供ができないから離婚してくれ』と頼み、夫婦で話し合い養子を迎えてパパになった方がいたんですが『不妊を認めて決断したことでパパになれた。感謝しかない』と泣きながら頭を下げられました」
養子なのに顔が似てくる!?
「決して不妊治療を否定している訳ではない」という前置きのもと、自身も特別養子縁組で育ての親となった岡田代表はこう話す。 「親になりたい皆さんに言いたいのは『子を授かる方法は決して一つではないよ』ということ。いつまでもDNAにこだわりすぎると、【生みの親】だけでなく【育ての親】になるという選択肢も失ってしまいます。沢山の不妊治療をしている人を見てきました。本当にキツくて辛い。だからこそ『あと◯年』とか『あと◯回』と期限を決めることは大切だと思います」 日本の場合「養子なんて…」「他人の子なんて…」と養子をもらうことに否定的な親兄弟もいるが、驚くことに血縁関係が全くなくても顔が似てくることも多いようだ。 「以前、4人の養子を迎えた夫婦がいたんですが、顔が全員似てきたんです(笑)。全く血のつながりもないし、生まれた場所も血液型も違うのに。一緒に生活しているからかな? わざわざ『養子です』と言わなければ、その夫婦の実子にしか見えないんです。不思議ですよね」 とはいえ岡田代表は「告知は絶対に必要」だと語る。 「日本は戸籍制度があるので、特別養子縁組で実子になってもその事実は消えない。それに今まで子供がいなかった夫婦に、いきなり子供ができたら近所の方は不思議に思うだろうし、本人に隠していても他人から伝わってしまう可能性は高い。子供にとって1番残酷なのは、他人から自分が養子であると聞かされることです」