プロ野球選手→公認会計士合格。「そんなことしていて大丈夫か」ロッカールームでもテキスト開いた現役時代
戦力外または引退となる平均年齢は27.1歳。平均在籍年数は6.8年── 。 プロ野球選手が現役として活動できる期間は短い。では、引退後の選手はどこへ行くのか? 【全画像をみる】プロ野球選手→公認会計士合格。「そんなことしていて大丈夫か」ロッカールームでもテキスト開いた現役時代 2023年の日本野球機構(NPB)の調査では、9割以上がプロ野球選手を引退した後も、野球関係の仕事をすると回答している。 そんななか、全く異なる進路を選択する人もいる。今回、話を聞いた池田駿さんもその1人だ。 読売ジャイアンツと東北楽天ゴールデンイーグルスでプロ野球選手として活動したのち、現在は公認会計士試験合格者として、CPA会計学院で講師を務めている。 野球選手から公認会計士という、2つの狭き門を通り抜けてきた池田さんのキャリアの軸とは?
「考えるから楽しい」野球に目覚めた中学時代
池田さんが野球と出合ったのは小学生時代のこと。 少年野球チームの監督を務める野球好きな父と、すでに野球を始めていた兄の影響で、気がついたら池田さんも野球チームに所属していた。 スポーツは得意ながらも、ゲームをしたり友達と遊んだりする方が好きだったという。 野球の楽しさに目覚めたのは中学生時代のことだ。 「小学生時代はあれやりなさい、これやりなさいって言われるだけだったところから、中学生になって自分たちで考えて練習するようになったのがすごく面白かったんですよね。 試合では全然勝てなかったけれど、3年間、ずっと野球が楽しかった」 甲子園を夢見て、地元の強豪校・新潟明訓高校への入学を決めた。 同校は進学校でもある。中学生時代に大きな実績がなかったためスポーツ推薦での進学は難しく、一般入試のために勉学にも励んだ。
プロは選択肢になし。夢は数学教師
高校入学後、2年生の秋からはエースを務めた。3年生の夏には甲子園に出場し、ベスト8に進出。 ここまで活躍した池田さんだったが、高校卒業後の進路として「プロ野球選手」という選択肢は考えていなかった。 「もちろん野球は楽しくやっていましたが、高校2~3年生になって、進路を考えているうちに、自分は数学が得意だなということに気づいて。 人と話すことも好きだし、数学の教師になるなんていいんじゃないかと考えていました」 進学先として選んだのは専修大学商学部だ。甲子園への出場をきっかけに、専修大学への誘いを受けたのだった。数学の教師になることも夢見つつ、大学入学後も野球を続けることになった。 実は、大学入学直前から、大学卒業後の進路も決まっていた。18歳の春、まだ高校生ながら大学野球部の遠征に参加した池田さんの投球が、ヤマハの社会人野球部の監督の目に留まったのだ。 「君、何年生?」 「高校生です」 「大学卒業したら、うちにおいで」 そんなやり取りから始まった縁は、見事に4年間続いた。 「もちろん、高校時代に教師になる夢も思い描いていたので、気持ちが揺れることもありました。 でも、ヤマハの皆さんが4年間、本当に気にかけてくださって。これはご縁だと思って、野球一本で行こうと心が決まりました」