プロ野球選手→公認会計士合格。「そんなことしていて大丈夫か」ロッカールームでもテキスト開いた現役時代
動機は「楽しさ」と「恩返し」
社会人野球選手、プロ野球選手、公認会計士とキャリアを変化させてきた。どれも、「よくあるキャリア」からは外れた選択と言えるだろう。 キャリアを決めるにあたって大切にしていることは何なのだろうか。 「何かを選択する時、まず楽しいかどうかを考えてしまうんです。楽しいという気持ちが軸にないと絶対にやっていけない。野球も楽しいと思えたから仕事にしていたし、会計士を選んだ時も数字が好きで勉強していて楽しさがあった。 自分の好きなことが分からない人は、今手に持っているスマホの検索履歴を見てみてください。気づいたら自分がよく調べているテーマがあるはず。そういうところから、自分の興味を探っていくと良いと思います」 近年は、自分自身にとって楽しいことに加え、人の役に立つことへの思いも強まってきたという。 野球選手から会計士という大きな転身を遂げた池田さんの元には、同じ野球選手から相談が寄せられることもある。 「引退を考えている選手から、連絡が来たことがあります。同じチームでもないし、全く面識のない選手だったのですが、それだけ周りに相談できる人がいないということだったんでしょうね。 僕と同じように悩んでいるプロ野球選手のセカンドキャリアをサポートする仕事もできればいいなと考えています。これまでたくさんの人に助けられていたので、形は違うかもしれないけれど、僕も周りに還元していきたいんです」 取材中、池田さんは「恩返し」という言葉を何度も口にしていた。キャリアの軸は「楽しいかどうか」だと語りながら、高校時代から変わらず、その根底には周囲の人々への想いがあるように見える。 そんな想いがあるから、大胆なキャリアチェンジにも成功してきたのかもしれない。 池田駿さん 1992年生まれ、新潟県出身。大学卒業後、ヤマハ株式会社の社会人野球部に所属。2017年、25歳で読売ジャイアンツに入団。2020年に東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍。2021年にプロ野球から引退し、2023年に公認会計士試験に合格。現在はCPA会計学院で講師を務める。
白鳥菜都