プロ野球選手→公認会計士合格。「そんなことしていて大丈夫か」ロッカールームでもテキスト開いた現役時代
1日9時間の猛勉強を経て、難関試験を突破
それでも、公認会計士という目標に向かって進むことを決めた。 次のキャリアに向けて進むため、2021年の秋、プロ野球選手を引退することを決断する。 球団からは、引き止められた。両親からも、反対された。当時すでに子育て中でもあった。大きな報酬があるプロ野球選手という仕事を手放し、合格するかも分からない公認会計士を目指すのだから、当然だ。それでも妻だけは、初めから応援してくれた。 なんとか周りを説得し、本格的に公認会計士を目指して進み始めた。1日9時間、デスクに向かってひたすら勉強した。 「何度も心が折れそうになりました。勉強の内容が難しいのもありますが、仕事をしていない自分がカッコ悪く感じて、劣等感を感じてしまった。 でも、応援してくれている家族もいるのに、そんなこと言ってる場合じゃない。絶対に1発で合格しようと思いました」 そうして2023年、見事1回の受験で公認会計士の試験に合格した。 試験合格後、選んだ進路は、公認会計士資格スクール「CPA会計学院」の講師だった。実は、自身が試験合格までの間に利用していたのが「CPA会計学院」の通信講座だったという。 会計士の資格を取った人の多くは、監査法人や税理士法人に就職する。しかし、池田さんはまたもやイレギュラーな道を選んだのだった。 「30歳で野球を辞めて、一般的な社会人経験のない自分が、どこで働けるんだろうと不安でした。でも、たまたま就活をしている時に、講師の求人を見つけて。 自分の経験を活かして、何か恩返しができないかと思い、面接を受けることにしました。それに、高校生の頃に描いた先生になるという夢も、叶えられるかもしれないと思ったんです」
モチベに頼らないのが習慣化のコツ
現在は、公認会計士を目指す人々を相手に日々、講義をしたり相談に乗ったりしている。池田さんと同じく、キャリアチェンジを目指す人や、子育てをしながら勉強に励む人も多いという。 かつて目指していた“先生”という仕事に就いたいま、どんな気持ちで仕事に向き合っているのだろうか。 「正直、これだけ勉強したのだから、人に教えるのもすぐにできるだろうと思っていました。けれど、実際にやってみると、理解することとそれを教えることは全くの別物。 でも内容がうまく伝わって、受講生の方が明るい顔をして帰っていくのをみるとすごく嬉しいですね。試験で良い点数が取れたと報告しにきてくれる方もいて、とてもやりがいを感じています」 勉強を続けるコツはモチベーションに頼らないこと。公認会計士でも、プロ野球選手でも、毎日必ずやる気があるとは限らない。それでも、安定したパフォーマンスを発揮するためには、習慣をつけることだという。 「勉強が好きという人は稀です。でも、習慣として定着させてしまえば、とりあえずやるかと思える。 何か力を伸ばしたいとか、達成したい目標がある人は、練習や勉強をやって当たり前になるまでが勝負なんだと思います」