【独白】梅宮アンナ「手術室では何度も泣いてしまいました」とりわけ涙があふれた「意外なひとこと」とは?
まだ傷口をしっかり見つめる前です。これから自分の気持ちはどう変わるのかな
次に目が覚めたとき、私は「いま何時ですか」って聞きました。マネージャのマコちゃんは6時間の手術を受けたときせん妄が起きて「お寿司、お寿司お寿司行きたい」って言ったんだって。パパは10時間の手術で「さっきオバマが来ただろう? あと菜々緒ちゃん」って言ってました。オバマ(笑)。私は手術が短かったせいもあるかもですが、冷静に現在時刻を聞いて、そのあとまた「ありがとう」と言い続けていました。ありがとうという言葉もね、心で思っているだけではしょうがないんだと思いました、声に出さないと。やっぱり声に出すって大事だなって改めて思いました。だって、心で思ってるだけじゃ何も変わらないもん。 というわけで、私にとってのいちばんの楽園はオペ室でした、というご報告です。みんな術着の色が違って、紫なんかもあって外国みたいにカラフルなんです。全然いやな冷たい感じがしません。でも、中には怖い、悲しいという気持ちで泣いてしまう人もいるそうです。今回私は右乳房を切除しましたが、1週間くらいして痛みが和らいだとき、本当に自分の胸部、おっぱいがなくなった場所を見てどう思うんだろうってちょっと思います。 たぶん私のことだから「やっぱり左もいらない」って思っちゃうんだろうな(笑)。私、髪の毛がなくなることは本当に本当に悲しくてショックでしたが、おっぱいは全然悲しくなかった。おっぱいちゃんには悪いんだけど、がんになったから仕方ないんだよね。コメントに「手前の楽しさを取るのか先の楽しさを取るのかです」って書いてくれた人がいましたが、全部取っちゃいたい気持ちがよくわかります。きっと私はステージ0や1でも取ってくださいと言ったと思います。 とりあえず、いまはほっとしています。一般的にはもしかして、この乳房切除が乳がん治療の最大のヤマ場かもしれませんが、私の場合は抗がん剤のほうがヤマ。手術は3時間19分で目が覚めたら終わり、痛み止めで抑えてと先が見えますが、抗がん剤は長いのです。次にパクリタキセルでの抗がん剤治療12回が控えていますが、これが終わったときはじめて一山越えたという気持ちになるのかな。そのあとの放射線もそれはそれでどう副作用が起きるかわかりませんが。 まだまだ私の中では一山越えていません。肺炎にならなければ11月6日に抗がん剤が終わっていたのだけれど、肺炎になってしまったこともあって、抗がん剤怖くて。あれはハードコースでした。 そしてこの手術の直前、思いがけない「あれ」が始まってしまったのです。そのお話は続く後編でお伝えしますね。
オトナサローネ編集部 井一美穂