女性に増えている息切れの正体を専門家が解説【呼吸と姿勢を改善する「呼吸筋ストレッチ」付き】
息切れの正体【2】速く浅い呼吸
マスク生活で浅い呼吸に陥ることも、息切れ患者が増えた理由の1つだ。ところで、浅い呼吸とは具体的にどんな呼吸なのか? 「主に『口呼吸』を指します。人間の呼吸は、生理的に鼻で吸って鼻から吐くのが基本。『呼吸は鼻、食べるのは口』というのが本来の役割です。しかし、マスクのつけっぱなしなどで息苦しさを感じると、ゆっくりとしか吸えない鼻呼吸よりも、手っ取り早く酸素が取り込める『口呼吸』の方が楽ですから、それが習慣化してしまったのでしょう」 口呼吸は鼻呼吸に比べると速く、浅くなる。その分、呼吸の回数が多くなって息切れや息苦しさを引き起こすのだという。 「ちなみに、人間は、進化の過程で四足歩行から立ち上がって二足歩行になり、喉の構造が変化しました。その結果、四足歩行ではできなかった口呼吸が可能となりました。体の構造の変化で、人間はしゃべる能力を手に入れましたが、呼吸に限っていえば、デメリットだったと思います」 鼻が持つバリア機能が活用されないのも問題だ。 「鼻呼吸では鼻毛がフィルターとなってほこりやばい菌をキャッチし、きれいな空気を肺に届けてくれるうえ、湿度も保ってくれますが、口呼吸はそれらをダイレクトに肺に送ってしまいます。さらに、口を開けっぱなしにすると口内の粘膜が乾くため、ばい菌に対するバリア機能が落ちて風邪をひきやすくなります」
息切れの正体【3】息切れにもいい、悪いがある
では、どの程度の息切れが要注意ゾーンなのか。 「診断の基準となる息切れの段階があります(下記「あなたの“息切れ”はいい? 悪い?」参照)。 運動などきつめの動作で起きる息切れは、筋肉が頑張って酸素を使い、二酸化炭素を吐き出している証。 しかし、平坦な道を数分歩くだけで息が切れる、同年代の人の歩行スピードについていけないという場合は“悪い息切れ”の可能性が。 息切れが続く時間もポイントです。たとえば、長い階段を上った後、ハァハァと上がる息が30秒~1分程度で収まる場合は大丈夫ですが、5~10分以上経ってもまだ息が切れるときは、病気が隠れている可能性があるため、医療機関を受診することをおすすめします」