胸がきゅんとなる甘酸っぱさ! 全日空が開発したイチジク缶で過去へ旅立った件
缶詰博士の黒川氏によると、缶詰の中には「食べることで旅気分が味わえる」ものがあるとか。それは例えば、外国の缶詰を食べれば、その国に行ったような気持ちになれるということですか? 【写真】ANAが開発したイチジク缶は「童心に帰る」味! ワインのお供にも良い 「それだけじゃない! 旅というのは時間を飛び越える旅だってあるんです!」 えー、何だか面倒くさいです博士。分かりやすく説明してください。
■開発したのは全日空 子どもの頃は嫌いだったのに、いつの間にか好きになっていた食べ物ってありますね。僕にとってイチジクがそう。庭に植わっていたイチジクは甘みが少なく、口に含むとざらざらした皮の感触が気持ち悪かった。 そこで祖母が皮をむいて、砂糖煮にしてくれたのだが、それはそれで甘すぎて気持ち悪かった。そんなイチジクが今では大好きなのだから、とても不思議。 で、今回紹介するのはイチジクのシラップ漬けの缶詰であります。開発したのは何と全日空(ANA)で、「旅する食卓」というブランドで売り出されている。
■エチケット風のデザイン 品名に「THE CAN for WINE」とあるから、ワインのお供にぴったりということか。子どもの頃はイチジクにワインなんて想像もしなかったけど、今なら素直に「いいかも!」と思える。 パッケージは高級缶(感)があり、外箱の中の缶にも美しいラベルが巻いてある。それがワインのエチケット(ラベル)に思えて、ちょいといい缶じ。
■胸の奥がきゅっとなる匂い 開缶して思わず声が出た。イチジクが大きく、かつ姿が美しい。皮はきれいにむかれていて、潰れたり割れたりしている実もない。きっとていねいに扱われているのだろうなァ。 どんな匂いがするのか鼻を寄せると……。胸の奥がきゅっとなった。かつて祖母が作ってくれた庭のイチジクの砂糖煮、あの匂いと同じなのだ。 何度もスンスンしてしまう。嫌いだったはずなのに、とても惹かれる。なぜー?!
■ツブツブの食感もよし かくのごとし。半分に切った実にゴーダチーズを合わせたら、いかにも白ワインに合いそうなアテになった。ゴーダチーズには缶のシラップをかけて、味の統一を目指しております。 ひと口いただくと、またまた胸の奥に来るものがある。シラップの甘さはしっかりあるが(糖度の高いヘビーシラップを使用)、イチジクの酸味がシラップと拮抗して、トータルではすっきりした甘酸っぱさになっている。 内部のツブツブの食感もよく、最後に鼻から抜ける香りがまことに爽やか。 で、食べている間ずっと、幼時に過ごしたアパートの庭の風景が思い浮かんだのだった。この缶詰は、僕にとって過去への旅でありました。 缶詰情報 ANAフーズ/THE CAN for WINE 香川県産いちじく 4缶4,968円(ANA公式ECサイト価格) 同ECサイトなどで購入可 ■ 缶詰博士 かんづめはかせ 昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。初のエッセイ本「缶詰だよ人生は」(本の泉社刊)も絶賛発売中! 公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。
缶詰博士