トヨタとNTTが会見 スマートシティー構想で提携(全文1)広がるソフトウエアファースト
コネクト、トラスト、インテグリティ
最後に、この資本業務提携のベースにあるのは人です。1月8日の章男社長の社内での講演がございました。実は今でもYouTubeで見ることができます。40分ほどなんですが、私ももちろん見させていただきます。この中に多くの示唆がございます。全ての経営者が考慮していくべき、考えていくべきことが包含されていると思います。それは愛情であったり、公への貢献であったり、そしてインテグリティ、志、清廉な考え方です。非常に感銘を受けまして、この資本提携の基本、この方が率いておられる会社と私どもがご一緒できる、それによってより良い、より明るい未来と、このスマートシティを通じてですが、広げていきたいと。 私どもの、この三角形の絵は真ん中に人を置きまして、下からコネクト、トラスト、インテグリティ、これを共通概念として、そういう会社になっていきたいという中期経営計画の絵です。これにまさにかなうのが今回のトヨタとの資本業務提携だと、こういうふうに考えております。明るい未来に向けて、とても期待と夢を個人的にも感じております。どうも、ご清聴ありがとうございました。 司会:続きまして、豊田よりご説明申し上げます。
ソフトウエアの位置付けが変化
豊田:澤田社長、ありがとうございました。豊田でございます。皆さまご承知のとおり、自動車産業はCASE革命により車の概念そのものが変わるとともに、人々の暮らしを支えるあらゆる物、サービスが情報でつながっていく時代に突入しております。つまり、私たちのビジネスを考える上でも車は単体ではなく、車を含めたまち全体、社会全体という大きな視野で考えること。コネクティッド・シティという発想が必要となってきております。 こうした中で、今回NTTと新たな協業に取り組ませていただくことになりました。私からはトヨタがNTTと提携する理由を、私たちが直面している2つの変化の観点からご説明をさせていただきます。1つは、トヨタ自身が対応していくべきものとして物づくりにおけるソフトウエアの位置付けの変化がございます。従来の商品開発は、ハードとソフトの一体開発が基本でした。しかし、ソフトの進化のスピードがハードを上回る状況が出てまいりますと、一体開発では商品の性能や価値向上が、進化の遅いハードの制約を受けるという課題が顕在化してまいりました。そこで近年、開発の自由度確保と商品力向上のため、ハードとソフトを分離し、ソフトを先行して開発、実装するソフトウエアファーストの考え方が広がってきております。 この成功例がスマートフォンです。スマートフォンの大きなモデルチェンジは、画面の大型化や超高精細有機EL画面の登場、折り畳める画面など、新しいハード技術の採用のタイミングで行われます。しかしスマホでは、そのタイミングを待たずに、同じハードでもOSやアプリの更新で新しい機能を拡張していけるわけであります。これを車づくりに当てはめますと、フルモデルチェンジはハードを更新するタイミングで車を買い替えていただき、その価値をお届けすること。マイナーチェンジなど、その他の改良はソフトを更新するタイミングでハードはそのままに、新しい機能、価値を提供することとなります。