トヨタとNTTが会見 スマートシティー構想で提携(全文1)広がるソフトウエアファースト
NTTとの提携は必要不可欠で、ある種必然
企業グループのフルモデルチェンジにおいてNTTは先駆者です。NTTはすでに会社規模で、ハードとソフトの分離を実行してこられました。当初、電話回線はアナログ通信であり、通信の切り替えは機械式接点による交換機だったと伺ってきております。その後、通信のデジタル化とともに、交換機がルーターに置き換わり、ソフトで通信の制御を行うようになってまいりました。 さらに携帯電話により場所を選ばずどこでもつながる社会が実現され、通信は通話という機能を超えて新しいデータサービスやビジネスを生む基盤となりました。そこでNTTはグループ全体の事業構造をハード主体からソフト主体にフルモデルチェンジをし、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズやエヌ・ティ・ティ・データなどの通信基盤、情報処理基盤の構築や、その上でのソフト事業を担う会社をつくり、データサービスやソリューションまで幅広く取り組む総合情報通信企業としてイノベーションの加速に取り組んでこられました。 現在はスマートシティやIOWN構想など、将来のまちづくりの実証や先端研究でも世界の先頭を走っておられます。ソフトの位置付けの変化と車の役割の変化という2つの変化に対応し、モビリティカンパニーへとフルモデルチェンジしていくためにNTTとの提携は必要不可欠であり、ある種必然であったとすら思っております。
交通、通信の世帯支出が増加
そして私たちはさらなる仲間を求めていくことになると思います。この提携のベースにあるのはオープンマインドです。多くの仲間と共に未来をもっと良くしたい、それは両社共通の思いです。最後に、今回の提携の根底にある私の思いをお話ししたいと思います。このグラフをご覧ください。平成の30年間の1世帯当たりの支出を見ますと、支出総額は増えてないものの、交通、通信の項目が約30年前の10%から15%に増えております。いみじくも家計調査では両者が同じ分類になっておりますが、この間キープを向かえた日本の自動車市場に対しまして大幅に増えておりますのが通信です。 これは人々が車以上に通信を必要不可欠なものだと考えていること、もっと言うと通信が人々の幸せにつながっているということだと思います。かつては車がその役割を担っていたと思います。このグラフを見て、もう一度車が頑張らないといけない。日本の基幹産業であり、成長産業だというならば、もっと人々に幸せを与える存在にならなければならないということを痛感いたしました。 こちらの円錐形をご覧ください。これは1955年にトヨタ自動車工業が発行した【「トヨタ」 00:23:42】と題した冊子にあったものでございます。「トヨタとは?」というタイトルとともに、この円錐形が記載されておりました。一番上には佐吉翁の遺志とあります。これは豊田綱領のことであり、その中には産業報国の精神があります。織機から自動車にフルモデルチェンジを果たし現在に至るまで、トヨタの根底にあるのは社会や国を豊かにすることに貢献したいという強い思いです。未来の社会づくりには大きなエネルギーが必要となります。先を見通すことが難しい大変革の時代、解答のない時代だからこそ、お国のためにという意思を持ち、未来を創造する技術力と人間力を持った民間企業が決起することが大切だと考えております。 【書き起こし】トヨタとNTTが会見 スマートシティー構想で提携 全文2に続く