OPECプラス、供給拡大を2カ月先送り-原油安対処を優先
(ブルームバーグ): 石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」は、計画していた供給拡大を2カ月遅らせることで合意した。しかしこの決定も需要不安による原油価格の急落を反転させることはできなかった。
10月から日量18万バレルの供給拡大が計画されていたが、主要メンバー国はこれを2カ月間遅らせる方針を固めた。OPECがウェブサイトに声明を掲載した。日量220万バレル相当の減産を1年かけて段階的に巻き戻す長期計画は維持され、完了時期が2025年12月に2カ月先送りされた。
このニュースに対する原油市場の反応は鈍く、価格はロンドン市場でバレル当たり73ドル付近を維持した。OPECにとってマイナスの材料の多くは、計画先送り後も変わらないとジュリアス・ベアのアナリスト、ノーバート・ルッカ-氏は指摘する。
「需要は部分的に停滞しており、米州での生産は伸びている」とルッカ-氏。「原油市場は来年、需要超過になる可能性が高い」と述べた。
原油の2大消費国である中国と米国で弱い経済データが発表されたことを受け、価格は今週、バレル当たり73ドルを割り込み、2023年12月以来の安値に沈んだ。物価高に長年悩まされた消費者には朗報だが、サウジアラビアをはじめとするOPEC諸国が政府支出を埋め合わせるには低過ぎる価格だった。
サウジとロシアが率いるOPECプラスは、2022年に始めた減産を徐々に巻き戻し供給を拡大する工程表で6月に合意していた。しかしこの計画が公表されると直ちに動揺が走り、計画の「一時停止ないし反転」の必要性を訴える声が続いた。リビアで大規模な供給障害が起きたため、予定通り供給を拡大できるとの見方もあったが、メンバー国は慎重姿勢に転じた。
国際エネルギー機関(IEA)や大手商社のトラフィグラなどは、10-12月(第4四半期)の供給超過を予想していた。OPECプラスは供給拡大を見送ることで、これを回避する可能性がある。シティグループはこれまで、供給拡大で価格はバレル当たり50ドルに向けて下げる可能性があると警告していた。