「時短勤務 いつまで」検索する女性たち 令和に見えてくる課題──#なぜ話題
令和にあるべき時短勤務とは
時短勤務は今の時代にどうあるべきなのだろうか。大沢さんは、制度にとらわれない仕組み作りが必要だと話す。 「時短勤務だけに縛られない、子育てと仕事の両立ができる別の仕組みを作っていく必要があると思います。ハイブリッドワークといわれる、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方や、勤務時間を自由に選択できるフルフレックス、成果に基づいた評価制度を導入して、金銭的にもペナルティーがあるような今の仕組みはなくしていく必要があります」 金銭面では、国が2歳未満で時短勤務を取っている人への現金給付を検討しているとして話題にもなった。 「年齢で区切る短期的な政策では解決しません。業務成果にひもづいていない給付も疑問です。例えば、成果がフルタイム並みであれば、フルタイムと同じ給与が受け取れるなどであればよいと思います」 最近では、育児や介護にとどまらず、ボランティア活動や留学、リフレッシュなどを理由に取得できる企業の動きもある。
「時短勤務を取得した人が、スキルアップを図る講座などを受けられる企業もあります。結婚や出産を考えていない、結婚せず子どもはほしいなど価値観は多様化していますので、時短勤務を存続させるならば子育てだけのためではなく、理由を問わずさまざまな立場の人が選択できる制度にしていく必要があります」 いろいろな制度が作れるのは「大企業ならでは」との指摘もある。 「いつも中小企業はできないという話が出るのですが、その発想を変えるべきです。情報を共有して、ワークシェアをしながら規則に縛られない柔軟な働き方ができる中小企業が増えていて、それらの会社の業績が伸びています。柔軟な働き方を可能にすることで、大手から優秀な人材を引き抜くチャンスも増えると思います」 時短勤務以外の柔軟な勤務制度づくりや、男性も時短勤務を取れるような機運の醸成、成果に応じた報酬や評価を得られる体制、独身者や子どもがいない人でも取得できる時短勤務制度の創設など、課題は山積みだ。 「今の日本は、良妻賢母という言葉があるように、明治以降の性別役割分業が前提の社会からの転換点にあります。時短勤務の在り方も、個人、企業、国全体で考えるべき課題だと思います」
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