「時短勤務 いつまで」検索する女性たち 令和に見えてくる課題──#なぜ話題
働き方改革の前段階で生まれた制度
そもそも時短勤務制度(短時間勤務制度 以降、時短勤務)とは、2009年の育児・介護休業法の改定で、3歳未満の子どもを育てる従業員が希望すれば、労働時間を1日原則6時間に短縮できる仕組みを企業に義務づけたものだ。短縮した勤務時間の賃金はおよそ8割の事業所で無給となっている。この制度は、なぜ作られたのか。労働経済学が専門で、女性のキャリア研究を行う日本女子大学名誉教授の大沢真知子さんに聞いた。
「女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は30代前半でいったん下がります。結婚や出産で仕事を辞めてしまう人が多いので、働く時間を短くすれば仕事を続けていけると見込んで、国は企業に措置を取らせました。なぜ3歳未満だったかというと、保育園不足で特に空きが少ない0~2歳の年齢のお子さんを持つ方が取得しやすい条件にしたと思われます。働き方改革の前段階で生まれた制度です」
小学校入学以降も時短を取れる事業所が増加している
厚生労働省が、時短勤務制度がある事業所に最長いつまで取得できるか(最長利用可能期間)を調査した結果、2017年度に、小学校入学以降も取得できる事業所の割合が20%を超え、「小学校入学まで」と回答した事業所を逆転。以降も増え直近では26.1%に達している。「小学校入学まで」や法定通りの「3歳未満」は減少傾向だ。大沢さんは、企業のこういった動きを「女性を活用するための現実的な解決策」だと話す。 「女性の力を活用しないと成り立たない背景があると思います。働く女性の割合が増えてくると女性の管理職がいないままでは働きやすくならないし、職種によっては女性の力が重要視されるところもあります。とはいえ、お子さんが小さい頃はいろいろなケアが必要だという声は根強いので、女性に長く働き続けてもらうために制度を利用できる子どもの年齢を企業が自主的に引き上げているんだと思います」
小学校卒業まで時短を取れる企業、制度変更で利用者10人増加 取得9年目の人も
国内外に約90の拠点を持ち、採用コンサルティングやヘルスケア領域など幅広く事業を行うネオキャリアは、これまで「小学校入学まで」としていた時短勤務を2023年9月から「小学校卒業まで」取得可能にした。福利厚生制度を担当する経営企画本部の滝沢望さんは、社内アンケートをきっかけに制度の見直しを行ったと話す。