2歳から5歳までの「心の荒れ」は学びのチャンス? 困った行動に悩んだ時のケース別Q&A
癇癪を起こして物を投げたり、親の言葉を無視したり……。 子どもの荒れっぷりに、「育て方のせい?」「愛情不足?」と悩んでいませんか? しかし、自分を責める必要はありません。 「うちの子、心が荒れてしまったのでは?」と思ったときには、むしろ「心の荒れは学びの一歩である」と前向きに考えて対応することが大切なのだそうです。 本記事では、教育学博士の渡辺弥生先生によるケース別Q&Aをご紹介します。 ※本稿は『PHPのびのび子育て』2020年9月号から一部抜粋・編集したものです。
「荒れ」は「学び」の一歩です
2~3歳頃はイヤイヤばかりで、第一次反抗期と捉えられることが多い年頃ですが、「親に反抗している」というのは誤解です。 ママやパパに文句を言いたいのではなく、「自分でしたいこと」がいっぱい増えてくる時期なのです。 親と子の間に「愛着」と呼ばれる信頼関係ができると、子どもたちは次に、外の世界に関心を向け、探索を始めます。 バナナを「ブッブー」とクルマに見立てたり、ネット動画のキャラクターのマネをしたりと、「イメージ」を獲得していきます。そのうち、あれをやりたい、これをやりたい、と強く主張するようになります。 4~6歳あたりは、自己主張パワー全開の時期でもありますが、同時に「我慢しなきゃ」という自己抑制を学ぶ時期でもあります。 ただし、気持ちを切り替えたり、自分の気持ちを伝えるスキルがまだ十分ではないため、泣きわめいたり、すねたり、ものを投げたり。親としては、「なんでこんなに荒れるの?」と思ってしまいますね。 ですが、これは「荒れ」というよりは、子どもが次の一歩を踏み出す、学びのとき。その一歩にどのようにかかわっていけばよいか、「足場かけ」になる対応をご紹介します。
すぐに癇癪を起こす
Q うちの子、すぐに癇癪を起こすのですが、どうしたら直るのでしょうか? A 子どもの気持ちを翻訳しましょう。 やりたいことがうまくできないときは、大人でもガーッと気持ちが高まりますよね。「私ね、これがしたいんだけど、うまくできないからくやしくて泣いているの!」と伝えられるといいのですが、子どもはまだ、伝えるための言葉や方法を学んでいません。悲しみなどの強い感情をどう切り替えたらいいのかも、わかりません。 こんなときは、「これができないからくやしかったのね」「〇〇に怒ってるんだね」と子どもの気持ちを翻訳してあげましょう。自分の気持ちがママやパパにわかってもらえると、落ち着くことができます。そして、ちょうどよい言葉と出合えたとき、「次からは『くやしい』って言えばいいんだ」ということに気がついていきます。