何がどう凄い?近年誰も成し得なかった外国人正捕手の座を中日A・マルティネスは射止めることができるのか?
では、コミュニケーションが必要とされる配球面はどうだろう。 マルティネスは、中日の巡回コーチを務めていたキューバのレジェンド、オマール・リナレスの推薦で2018年3月に育成契約を結んだ。この2年、ファームでプレー。今では、片言の日本語は理解できるようになっている。本人は、「キャッチャーとして日本の投手と会話ができるようになり“いいキャッチングをしている“と言葉をかけてもらい自信につながっている」と言い、与田監督も「日本人投手とキャッチャーとしてのコミュニケーションに問題はなく、すべてにおいてレベルアップしていると判断した」と語っていた。 里崎氏は、「なぜ言葉が問題になるのか疑問。外国人投手のタイトルホルダーはたくさん出ているが、日本人キャッチャーと外国人投手のコミュニケーションは成り立っている。その逆パターンができないという考え方はナンセンスだ。監督、コーチ、スコアラーがミーテングで教育をする必要はあるが、言葉ができなくとも感性という能力があるならば、互いに意図は伝わる。嫌なら投手がクビを振ればいいだけの話」という意見だ。 巨人戦では、マルティネスの捕手としての傾向データがなかったため、巨人ベンチも的を絞ることができていないようにも見えたが、里崎氏は、「確かに捕手に配球の癖、傾向は出るが、それを相手が利用するのは、投手があまりに完璧でつけ入る隙がないときくらい。“これは打てない。捕手の傾向でヤマを張っていくしかないぞ”と使うわけで、まだ、そういう状況にはないし、正直戦うのはピッチャー」という見方をしている。 里崎氏の最終結論は、こうだ。 「キャッチャーがレギュラーをつかむのは、基本スキルさえあれば、やはり打力だ。まだ3試合で、今後、データも回ってきて打者としては、どんなアラが出てくるかわからないが、スタートが良かったんだから使わない理由がない。今季は、加藤、木下、新人の郡司の3人が起用されているが、こいつに任せたいという捕手がいないのが現状で、だからこそマルティネスがチャンスをもらったのだろう。であれば捕手の基本スキルはあるのだから使わない理由はないし経験を得て正捕手になる可能性がないとは言えない」 ここまでスタメンマスクは、加藤が6試合、木下が7試合、郡司が1試合の併用で、正捕手を決めきれていない。加藤は打率.167、1打点、木下は打率.333、0打点、郡司はヒット2本という状況だけに、マルティネスが打力でアピールすることができれば、正捕手の座を確保する可能性も十分に考えられるだろう。ちなみに昨年はファームで52試合、打率.257、2本塁打、21打点の成績だった。 しかも、美人の婚約者がいることでも話題のマルティネスは、「先輩のキューバ選手に自分も倣ってチームが優勝できるようにドラゴンズが勝てるようにするのが目標です」とポジティブだ。それが何よりの成功の可能性なのかもしれない。