月曜が憂鬱…「サザエさん症候群」を解消できる「脱感作療法」とは
「脱感作療法」が効果的
そこで――、会社を思い浮かべ、にっこりする。 これは脱感作療法のひとつです。感作というのは、もともとアレルギー反応で用いられる言葉で、抗原に対して敏感な状態であるという意味です。その過敏性の原因であるアレルゲンをあえて注射し、最初は極少量で徐々にその量を増やしていくことで慣れさせ、過敏性を減弱させる療法が、脱感作療法です。 心療内科やカウンセリングにおいても、あるものに対して敏感にネガティブな反応をしてしまう状態を治す場合に同様な療法が行われ、例えば高所恐怖症を治したい場合などは、高所から真下を見た映像をあえて見せる、何度も見せるといった方法が実際に採られています。そして平気な自分に気付いていく。 この場合、高所恐怖症の人が見ただけで気を失ってしまうほど高所からの映像を、いきなり見せることから始めては意味がありません。最初は低いところの映像から始めて徐々に高いところの映像にしていく。レベルの低いところから徐々に脱感作していく。 嫌いな先生の話であれば、いきなり先生の写真を机の前に飾るのでは刺激が強すぎる。まずは先生の服装やネクタイあたりを思い出すというところから始めて、次は髪型、次は鼻、顔、そして写真を毎日眺めるといった流れで慣れさせていく。見慣れていくうちに、嫌いという気持ちが軽減されてくる。にっこり笑いを付け足せばさらによし。 この方法を「月曜日がイヤだ」というネガティブな感情を軽減させるのに利用したのが「会社を思い浮かべ、にっこりする」です。 月曜日に出社するのがイヤな理由が、「Aという上司に会うのがとにかくイヤだ」というように明確であれば、「会社」ではなく「その上司」。 嫌みな上司やダメな部下に会いたくない、やりたくない仕事もある、出たくない会議もある、などなどが渾然と混じり合って、全体として何だか行きたくない。何がイヤってことはないけど、何となく、でも、すごくイヤ。そんなときは「会社」です。 もしくは、そのイヤになる瞬間、イヤという気持ちが芽生えるとき、そのキッカケを狙って脱感作します。 ポイントはリラックスできる環境で思い出すこと。ストレス物質の分泌が少ない環境で記憶を呼び起こすと、イヤな記憶が失われやすいとの報告もありました。
TEXT=篠原菊紀